ソフトバンク千賀「1軍でやれるのはいいな」静寂の違和感拭い去った161キロ

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

〈鷹番が見た〉

 ◆ソフトバンク4-3楽天(7日、ペイペイドーム)

 エースが苦しみながらも大きな一歩を踏み出した。右前腕部の張りなどで出遅れた千賀滉大投手(27)が今季初登板初先発。当初予定を前倒しして上がったマウンドで、初回に自己最速タイの161キロを記録した。5回3失点ながら6奪三振。昨年の奪三振王らしさも発揮した右腕は、今季初勝利を手にした。チームにとっても首位楽天との6連戦初戦で大きな白星。現在本拠地としているドームでの通算1000勝に王手をかけた。

■苦投5回3失点

 チームより18日遅れて開幕した千賀の2020年シーズン。初めて立った1軍の無観客のマウンドで、いつもと違う感覚に襲われたという。「集中しているようで、集中できていない。自分との会話が増えているなと思った」。静かな空間。屋根を打つ雨音も聞こえて「すごいと思った」。その違和感を拭い去るためにも、初回に力を込めた。

 先頭茂木への初球から159キロ。続けて159、159、そして4球目で昨年の開幕戦で出した自己最速と並ぶ161キロをマークした。そのまま全5球直球勝負で見逃し三振。ただ「去年の方が質は良かったかな」。安打と四球で2死一、二塁とされ、島内に155キロをはじき返され、中越え先制2点二塁打とされた。

 ファンがスタンドにいれば、球速が表示されるたびにどよめきが起こりアドレナリンも出ただろうが、この試合の千賀は我慢を強いられた。3回1死から警戒していた4番浅村にカーブを左翼ポール際へのソロにされると、ロメロに完璧に捉えられた打球が頭部後方を通過する危ない場面も。球数を要しながら、5回は「ラストだと思った」とブラッシュ、浅村を連続三振で締めた。直後に柳田の決勝打が飛び出し、5回、94球、被安打4、3失点ながら今季初勝利を手にした。

 「野手、中継ぎの方のおかげ。週頭で5回で終わっているようじゃ、いきなりきて足を引っ張っているようなもの」。期待されていることを理解するからこそ手放しでは喜べなかったが「1軍で野球をやれるのはいいなと思うし、気持ちの入り方も違う」と“開幕”の充実感も覚えていた。

 今年1月28日、筑後のファーム施設で自主トレをしていた千賀は、ダッシュ中に「やった!」と声を上げながら倒れ込んだ。この時痛めた右ふくらはぎが大きな影響を及ぼすことになった。春季キャンプは別メニューで始まり、キャッチボール再開後も患部をテープでガチガチに固めた。軸足のけがは投球バランスの微妙なひずみを生み、右前腕部への負担につながった。開幕に間に合わないことを悟ると口数が減った。

 ただ、千賀はけがのリスクを受け入れている。「ピッチャーは何千、何万回と、不規則な動きを繰り返す。それを同じ部位ばかりを使うんだから、負担がないはずがない」。161キロものボールを投げれば、そのダメージは計り知れない。

 首位との直接対決で当初の予定より前倒しで復帰したのも、その圧倒的なボールを持ち合わせているからこそ。3度目の同一カード6連戦でチームに初めて初戦の勝利をもたらしたエースは、これから本領を発揮するはずだ。 (鎌田真一郎)

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