ラグビー日本代表ジョセフHCの盟友・藤井強化委員長が「W杯小型版」強化構想

西日本スポーツ 大窪 正一

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、追い風の勢いを失った日本ラグビー界。6、7月に国内で予定されていた日本代表のテストマッチも中止されるなど強化活動にも大きな影響が出ている。日本協会の藤井雄一郎強化委員長が本紙の単独インタビューに応じ、実現を目指す強化構想の一端を明かした。コロナ禍の収束次第ながら、最短では9月の終わりから10月に代表の試合を行う案や、世界の情勢変化を見据えた代表活動の変革の必要性などを語った。 (取材・構成=大窪正一) 

 -本来なら、6月27日に昨年のワールドカップ(W杯)日本大会で4強入りした強豪ウェールズと静岡で対戦。かつて日本を指揮したジョーンズ監督率いるW杯準優勝のイングランドとは7月4日に大分、11日に神戸で試合を行う計画だった。

 「こればかりは仕方がない。コロナ禍がなければ6月には北九州市や大分・別府市で合宿も行う予定だった。招集する50人も決まっていた」

 -そのメンバー構成は? また選び直すのか。

 「昨年のW杯メンバーやその選考過程で漏れた選手が中心だった。最低でも1度は呼ぶと思う。ただ、今は動けない状況。強化メニューは個別に渡している」

 -国内外のテストマッチも含めた日本代表の試合の見通しは?

 「状況次第だが、最短の案としては9月の終わりから10月。そうなれば8月に代表合宿を行うことになる。現在の東京の状況を考えれば、現実的に今年は難しいとは思うが…」

 -1月はジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)とともにスーパーラグビー(SR)のサンウルブズやトップリーグ(TL)を視察した。

 「毎週何度かニュージーランド(NZ)にいるジェイミーとは連絡を取り合っている。具体的な動きができない分、次の2023年W杯フランス大会や27年W杯への中期強化計画、その先を見据えた長期のプランを練っている。育成レベルから代表までが連動した『器』づくりが大事になる。これまで協会として、そうした『遺産』が乏しかった面がある」

 -具体的には?

 「その当時のHCが人選、強化し、その期間が終われば解散してリセットされるので蓄積が少なかった。育成レベルでいえば、U20(20歳以下)代表が勝利する一方で、そのメンバーが代表に入ってこないと強化としては非効率。フル代表とは戦い方が違う上、どういう選手がいるかも情報共有されていない部分があった。将来を見据えた選考、代表と連動した強化を一本の線にする。変化しつつある世界の動きを柔軟に取り入れたい」

 -オーストラリアやNZは国内のSRチームだけで大会を開催。そうした動きへの対応は?

 「この動きを捉えて日本の強化でもプラスに変えなくてはいけないと思っている。今後、国際的な『ラグビーカレンダー』が変わる可能性がある。各国が国内リーグに重点を置くことや、『クロスボーダー』の大会開催の動きがあり、これまで年2回(6~7月と10~11月)のテストマッチ期間を1回にしていいのではないかという流れだ」

 -クロスボーダーの大会とは?

 「NZなど各国の国内リーグの上位チームが、どこかの1カ国に集まって持ち回りでW杯の小型版を行うイメージ。仮に2カ月間、クロスボーダーの大会が日本で開催されれば波及効果は大きい。実現の可能性はコロナ禍の収束次第だが」

 -そうした世界の動きも見据えた上で、日本代表の強化委員長として構想する日本のラグビーカレンダーは?

 「強化の観点から考えれば1月から5月がTL(22年1月から新リーグ設立予定)。6月と7月にクロスボーダーの大会。そして10月、11月がテストマッチ。クロスボーダーの大会にはTL(新リーグ)優勝チームと、それ以外の選抜チームの計2チームが参加できれば大きい。そうなれば高いレベルの国際試合を毎年80人ぐらいが経験できる。その中から日本代表になる選手が出てくれば」

 -実現すれば日本の国内リーグの価値が上がり、またサンウルブズを失った強化の穴を埋められる可能性がある。

 「国内のファンは、サンウルブズを通して世界のラグビーの魅力を知った。一度開いた扉をもう閉じることはできない。世界に通じるチームを持てば魅力も高まる」

 -こうした構想を実現するには関係各国への働きかけも重要。もちろん不透明な面も多い。

 「まずは強化の柱を固め、柔軟に修正すればいい。今、できうることは代表強化につながる対象選手の分母を大きくすること。7月15日の(協会の)理事会でW杯の反省とともに強化計画やビジョンを提案したい。誰が強化担当になってもぶれない確固たる強化組織、システムを残すことが使命の一つだと思っている」

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