ソフトバンク柳田「一生忘れない」サヨナラ弾で今季初の観客総立ち 本拠地ドーム1000勝飾る

西日本スポーツ 倉成 孝史

 ◆ソフトバンク2-1楽天(10日、ペイペイドーム)

 歓声が戻った球場を沸かせたのはやはりこの男だった。延長10回、先頭の柳田悠岐外野手(31)がサヨナラ弾。有観客試合が始まり1839人のファンが見守る前で自身通算5本目の劇弾を放ち、チームはペイペイドーム通算1000勝に到達した。5試合(1試合が中止)で計2万633人を集めたこの日のプロ野球は、1日でサヨナラ弾3本が飛び出す史上3度目の珍事。すべてが1点差と、ファンの声援を浴びて劇的な戦いが繰り広げられた。

 これぞ、プロ野球だ! 千両役者が、日本球界にとって大きな日に球場を揺らした。同点の延長10回。先頭でのっしりと打席に入った柳田が、シャギワの投じた4球目の外角球を豪快なフルスイングで捉えた。打った瞬間にそれと分かる打球はグングン伸び、バックスクリーン左に着弾。試合開始から、拍手を中心に遠慮気味に観戦を続けていた観客席は、劇的なサヨナラ弾を目にし「リミッター」が外れないわけがない。

 約1800人の観衆は、ほぼ総立ち。通常時と比較すれば少なすぎるその観客数と思えないほどの、大きな歓声と拍手が球場内に響いた。ヒーローはダイヤモンドをゆっくり一周し、待ち構えたナインのもとへ。3月のオープン戦時から恒例となっている「エアハイタッチ」も、ファンのボルテージにつられてかこれまでになく沸き、最後には柳田が珍しく右手で力強いガッツポーズを見せた。

 「うれしいっす。本塁打はどれもうれしい。それを生で見ていただけるのはうれしい」

 偽らざる心からの喜びだ。新型コロナウイルスの影響で3月の開幕は延期。新たな開幕日も決まらず一時はチームの活動自体も休止されるなど、プロ野球界も未曽有の事態が続いた。全体練習すらできなかった4月の自主練習期間中には「早く満員のスタンドにぶちこみたい」と吐露。まだ入場制限がかかる中だが、ファンの観戦が解禁された初日に豪快なアーチをぶち込んでみせた。

 観客を沸かせた一発で、チームにとっての歴史的な1勝も呼び込んだことも、スーパースターたるゆえんだ。この勝利で、ペイペイドーム通算1000勝目。「たまたま。積み重ねてきた先輩方のおかげです」と謙遜を忘れなかったが「一生、忘れることはないかなと思う」と、通算164発の中でもメモリアルなアーチとなることを喜んだ。

 もちろん、主砲としてチームも救った。首位楽天に8、9日の2試合は計21失点を喫するなど連敗。この日も東浜が強力打線を7回まで1安打に抑え、その後も必死の継投で計1失点に抑えていたが、相手エース則本昂の好投もあり打線は9回まで1得点しか奪えていなかった。延長10回の相手の攻撃を抑え負けはなくなっていたが、引き分けでも今後に尾を引きそうな可能性のあった中での値千金の一発。工藤監督も「松田(宣)君に柳田君に1000勝と、あるんですね、こういうことが。感動するゲームでした」と、興奮を隠せない。

 劇的な1勝で借金を2に戻し、首位とは4・5ゲーム差。開幕以来なかなか波に乗れなかった日本一球団が、ファンとともに巻き返していく。 (倉成孝史)

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