ソフトバンク中村晃 復活のダメ押し打 苦難に変わらぬ人間的強さ

西日本スポーツ

 ◆ソフトバンク8-4楽天(11日、ペイペイドーム)

 両膝の痛みなどのためファームで調整していた中村晃外野手(30)が、1軍復帰初戦で2連勝に貢献した。「5番左翼」でスタメン出場し、8回には試合を決める2点適時打を放つなど勝負強さを発揮。柳田にサヨナラ弾が飛び出した前夜の勢いを、戦列復帰した選手会長が加速させ、今季最大の4点差逆転勝ち。粘投の二保も今季初勝利を手にし、チームは首位楽天との対戦成績を3勝2敗とした。

 バットで自らの復帰を祝った。2点リードの8回2死満塁。酒居の直球を右前にはじき返す2点適時打で勝利を決定づけた。「今年初めての試合だったし、今年1本目のヒットだったので素直にうれしい」。一塁ベース上ではベンチにいるチームメートに向けて笑顔で両手を上げた。中村晃がようやく帰ってきた。

 「自分の人生じゃなくて、ひとの人生を助けたい。去年のこともあって、自分のために生きようなんて全然思ってない。ひとが元気に楽しく生きられるのなら、そのためにやっていく」。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、選手が自主練習を強いられていた5月中旬、中村晃がインスタグラムのライブ配信で口にした言葉だ。

 昨年、自律神経失調症の診断を受けてチームを一時離脱した。わが身なら、と想像しようとしてみたが浮かばない。人生観が変わるほどの経験をして、今もグラウンドに立ち続ける。その姿に中村晃の人間的な強さを感じずにはいられない。

 「ひとの人生を助けたい」。その思いをすぐさま形にした。5月11日、コロナ対応の最前線で働く医療従事者を支援するため、福岡県に1000万円を寄付した。「何か役に立てないか、日々考えていた」。県が専用の口座を開設する前から寄付したいとの意向を伝えていたという。

 グラウンドでも姿勢は変わらない。今季から選手会長を務めながら、両膝の痛みなどで6月19日の開幕には間に合わなかった。悔しさ、もどかしさもあったに違いないが、そんなそぶりは一切見せなかった。ある日の2軍戦、自軍の攻撃中にベンチで相手投手のモーションに合わせるように素振りを繰り返した。周囲には若手選手ばかり。後輩たちに歩むべき道を示していたように見えた。

 時は現在に戻り、この日の楽天戦。1軍の舞台に戻ってきた中村晃を球場は温かく迎えた。初回2死一、二塁で中飛に倒れたものの、ベンチに戻る際には拍手が起きた。コロナ対策のため観客はマスク着用が義務づけられ、大声での応援は控えるように呼び掛けられている。なかなか鳴りやまない拍手からは言葉にできない「おかえり」の思いがひしひしと伝わってきた。

 「僕にとっては待ちに待った中村(晃)君の復帰。本当に帰ってきてくれてよかった」と、工藤監督も心底喜んでいた。「一応選手会長なので、なるべく1軍にいられるように頑張りたいですね」。控えめな言葉は今季にかける強い思いの裏返しに違いない。中村晃の2020年シーズンが始まった。

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