「松坂世代」現役で唯一1軍の和田毅 投げて松坂大輔に伝えたいこと

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

〈鷹番が見た〉

 ◆オリックス0-7ソフトバンク(15日、京セラドーム大阪)

 有観客試合となって無敵のホークスが今季最長の連勝を「5」に伸ばした。好調な打線が7点を奪い、投手陣は今季2度目の無失点リレー。主役は6回をわずか1安打の無失点に封じ、今季2勝目を挙げた和田毅投手(39)だ。頸椎(けいつい)を手術した西武松坂ら苦しむ同世代に送った左腕のメッセージとは…。貯金を今季最多の「2」とし、2位タイに浮上する白星をチームにもたらしたベテランの思いに、鎌田真一郎記者が迫った。

 先発投手は登板前日に取材を受けるのが通例だ。質問は対戦相手の印象や登板間の過ごし方などが定番だが、中10日での今回登板を控えた和田の取材では、同世代の右腕に関する質問も出た。頸椎(けいつい)手術を受けた同世代の西武松坂についてだった。

 少し考え込んでから、和田は口にした。「2018年は大輔の投げる姿に励まされた。自分も必死な投球をして、そういうメッセージになれれば」。痛めていた左肩のリハビリで心が折れそうだった時、新天地の中日で復活を遂げた松坂の姿に奮い立ったからだ。

 チームの5連勝が懸かるマウンド。左腕は言葉通りの快投を見せた。大城に四球を与えた初回1死一塁。チームメートの柳田と打率でしのぎを削る3番吉田正を打席に迎えると、外角のスライダーで二ゴロ併殺に仕留めた。これで波に乗ると、次々とゼロを並べた。

 許した安打は2回のロドリゲスの中前打のみ。6回2死での吉田正との3度目の対決は「ホームランで同点になってはいけないと思って振り絞った」。この日最速の141キロで遊ゴロに封じた。「余力がありませんでした」と6回1安打無失点で完全燃焼。88球で今季2勝目を手にした。

 「不思議な感覚だった」と振り返ったのは、今季加入した4番ジョーンズとの対戦だった。2012年に米大リーグに挑戦した和田にとって、最初に所属したオリオールズのスター選手。久々の再会とあって、かつてのチームメートも帽子を取って応えてくれた。

 ただ、オリオールズに在籍した2年間は苦い記憶ばかりが残っている。1年目の12年は開幕早々に左肘の靱帯(じんたい)を再建するトミー・ジョン手術を受け、つらいリハビリに明け暮れる日々が続いた。その時期、頭髪の白いものが一気に増えたという。

 メジャー初勝利はカブスに移籍した14年。同年8月24日にはオリオールズと対戦し、ジョーンズも3打数無安打に抑えて勝利を挙げた。試合後、古巣を率いるショーウォルター監督(当時)に「健康であれば、これぐらいの投球をすることは分かっていた。だから、われわれは最初に君を獲得したんだ」とねぎらわれ、胸のつかえが取れた。

 海の向こうでの対戦から6年がたった。ハイレベルで走攻守を兼ね備えていたジョーンズについて、和田は「あのスーパースターが日本に来るとは、当時は想像もできなかった」と振り返る。この日の対戦では、当時より体が丸みを帯びた34歳のジョーンズを遊直、三ゴロに打ち取った。

 和田は来年2月に40歳の誕生日を迎える。12日に右肩不調で出場選手登録を外れた阪神藤川、楽天の久保と渡辺直、松坂と合わせて5人となった同世代で、1軍の舞台に唯一立っている。「自分も必死。一生懸命投げるしかない」。不惑を迎える「松坂世代」の火は決して絶やさない。 (鎌田真一郎)

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