「このまま引退なのかな」五輪1年延期で葛藤するベテラン選手たち

西日本スポーツ

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で延期された東京五輪の開幕まで23日で残り1年になった。五輪中止を求める声もある中、自国開催の大会を目指してきた選手たちは葛藤も抱える。

 「このまま引退しなければいけないのかな」。競泳女子の鈴木聡美(ミキハウス)=福岡県遠賀町出身=は外出自粛が続いた今春、何度も自問した。2012年ロンドン五輪では銀1個、銅2個のメダルを獲得。来年で30歳だが、競泳女子日本代表で五輪に出場した30歳以上の選手はいない。「ロンドンを超えたい。体は全く問題ないので、大事なのは私の気持ち」と揺れる心と闘い続ける。

 葛藤を抱えた末に五輪への挑戦を断念した選手もいる。リオデジャネイロ五輪でラグビー7人制男子の主将を務めた34歳の桑水流裕策(コカ・コーラ)は「見えていたゴールが見えなくなった」。バレーボール女子の新鍋理沙さんは「絶望というか、1年はとても長く感じた」と30歳を目前に競技を引退した。

 国立スポーツ科学センター(JISS)心理グループで自国開催の重圧を研究している立谷泰久先任研究員は、緊急事態宣言中に長期間練習できなかったことを踏まえ「競技が人生そのものだった選手のアイデンティティーが揺らいだ部分がある」と指摘。さらに「感染の終息が見えず、本当に来年開催できるのかという不安がある」と懸念する。水球男子日本代表でチーム最年長31歳の志水祐介(ブルボンKZ)=熊本市出身=もその一人。競技続行を決めているが「1年(延期)でギリギリ。2年(延期)の時点で引退」と言い聞かせ、何とかモチベーションを保っている。

(末継智章、伊藤瀬里加)

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