「今季の福岡は守備的」と判断するのは間違い 見えてきた長谷部監督「イズム」の断片

西日本スポーツ

【アビスパ取材20年超 ライター・島田徹コラム】

 アビスパ福岡サポーターの皆さん! 西スポでは新たな企画「行くぞ!アビスパ!」をスタートさせました。5年ぶりのJ1復帰へ燃えるチームは現在2連勝中で6位に浮上。調子を上げてきました。この企画では20年以上にわたってチームを取材しているフリーライター島田徹氏(55)が、コラム「“福岡”を語ろう」でその戦いぶりについて語ります。またチームを巡る出来事や話題も紹介。今後も随時掲載いたします。

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 2連敗の後の2連勝でほっとしたアビスパ福岡サポーターの方が多いと思います。ただ、まだ不安な気持ちも抱えながら、というのが正直なところでしょうか。

 不安を感じる理由の一つは、今季のアビスパのチーム像、戦い方のスタイルを把握しきれていないことにあるのでは? もっとも、それも致し方ないことです。まだ6試合を消化したにすぎないのですから。

 しかし、ここまでのゲームで、長谷部監督の「長谷部イズム」と今季のチームが目指すスタイルの断片が見えていたように思います。1-0で勝った2月下旬の北九州との開幕戦、アウェーでの福岡ダービーでは、ダイレクトプレーを強調した攻撃が印象的でした。ダイレクトプレーとは、相手ゴールに向かう直接的なプレーの総称で、単にロングボールを前線に入れることだけではなく、ドリブル突破や、相手最終ラインの背後を狙うフリーランニングなども含めてのものです。

 長谷部監督はゴールという攻撃の最終目的から逆算し「最も効率的なプレーを選択しよう」とチーム始動直後から言い続けています。その意識は既にチームに浸透し、プレーの判断基準となっている感じは受けました。

 一方で7月15日の第5節、ホーム磐田戦では積極的な守備が効果的でした。90分間足を止めず、1人ではなくグループでボールを持った選手を追い込み、圧力をかけて相手の攻撃を分断。日本代表FW小川航基にシュートを一本も打たせないなど、昨季J1のチーム相手に無失点勝利を収めました。このプレッシングという能動的な守備も今季のアビスパの肝となる戦術の一つです。

 19日の第6節、アウェー徳島戦では、蒸し暑さも考慮してプレッシングの形や強度を変えましたが、第5節までJ2単独トップの14得点を挙げていた相手を封じ、2試合連続の1-0での勝利につなげました。

 磐田戦と徳島戦では終盤に4バックから5バックに変更。「守備固め」で逃げ切りました。特に徳島戦では残り20分と時間を残した状況でこの策を取りました。しかし「今季の福岡は守備的」と判断するのは間違いです。第3、4節で長崎、京都に2試合続けて2失点で敗れたため、立て直し策として守備に重心を置いた結果にすぎません。

 むしろ磐田戦と徳島戦で見えたのは、組織力を前面に出して戦う、という長谷部監督と選手の強烈な意思でした。プレッシングを含めた効果的な守備を可能とするのに欠かせないのが連動性。徳島戦で20分もの長時間耐えられると踏んだ長谷部監督は連動性を生む組織力に自信を持っていたということでしょう。3連勝がかかる25日の岡山戦でも、チーム像を知る上で必要な新たなピースが見つかるはずです。

 ◆島田徹(しまだ・とおる)1965年3月28日生まれ。広島県出身。小学5年から福岡大1年までサッカーを行い、ボランチやサイドバックを務める。98年からサッカー専門誌の編集部に勤務し、アビスパの取材も開始。2008年から福岡拠点のフリーライターに。

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