アスリートに響いた重量挙げ三宅宏実の言葉「本音ではプラスに考えられない」

西日本スポーツ

 リオデジャネイロ五輪で水球男子日本代表の主将を務めた志水祐介(ブルボンKZ)=熊本市出身=は、リオ後の左肩手術を乗り越え、2大会連続の出場を目指していた。代表発表目前に延期が決定。31歳の体は満身創痍(そうい)で「本音ではプラスなんて全然考えられない」と葛藤しながらも、戦い続けている。

 「この1年をプラスに」「成長する時間ができた」-。東京五輪の延期決定後、多くのアスリートが発してきた。そうした前向きな言葉よりも来年の五輪を32歳で迎える志水の心に響いたのは、重量挙げ女子48キロ級で五輪メダル2個を獲得した三宅宏実(いちご)の発言だった。11月に35歳となる三宅は「ちょっと長い。ぎりぎりですね」と明かしていた。

 水球は水中の格闘技といわれるほど激しい競技。海外遠征も多い。同じサイクルをもう1年繰り返すだけの気力が持つのか。若手の台頭を見越した強化戦略を取る可能性もある。志水は「本音はプラスになんて全然考えられない。1年はぎりぎり。2年は世代交代ですよね、って(三宅に)言いたかった」と語る。

 延期決定は五輪メンバー発表目前の時期だった。「引退とか東京五輪を諦める考えはゼロだった」。それでも心は揺れた。「1年の延期は選手選考にも関わり、変化はかなり大きい。状態をキープし続ける、向上し続けるのはかなり酷なこと」。日本男子代表の大本洋嗣監督に「必要だ」と声を掛けられ、来年に向かう覚悟を固めた。

 代表合宿がコロナ禍で打ち切り後も、足は自然とプールやトレーニング場に向いた。「自分自身の気持ちは折れていない。東京に向けて準備しようという気持ちがあると分かった」。拠点とする新潟県柏崎市のプールが使えなかった間も「焦りはなかった」。2017年に利き腕の左肩の腱板(けんばん)を断裂。手術を受けて復活まで約1年を要した。肩は今も痛むが、物を持つことすらできなかった当時を思えば、プールを使えないことも苦ではなかった。自宅にトレーニング機器を持ち込み、左肩を中心に筋力強化。試合映像を見返し、戦術やシュートフォームも研究した。「いい時間が過ごせた」とうなずく。

 12年ロンドン五輪を逃した後、本場欧州で水球に打ち込んだ。元教員。子どもに夢の大切さを教えながら五輪出場を諦めた自らを見つめ直した末の決断だった。その先にリオ、東京があった。五輪への思い入れは強い。「支えてくださった方への恩返しの最後の場」と位置づける東京五輪。ぎりぎりの戦いを続けていく。(伊藤瀬里加)

 

 

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