大逆転負けの悪夢振り払った今宮 痛恨エラーの後輩周東にかけた言葉

西日本スポーツ 山田 孝人

〈鷹番が見た〉

 ◆ソフトバンク6-1日本ハム(26日、ペイペイドーム)

 ソフトバンクが球団15周年の節目で1200勝に到達した。6点差をひっくり返される前夜の悪夢を振り払ったのは、今季チーム5人目の1番に起用された今宮健太内野手(29)だ。初回先頭、先制点につながる激走の内野安打。今カードで初めて先制逃げ切りに成功し6連戦を3勝3敗の五分で終えた。パ・リーグは首位から6位まで4・5ゲーム差。大混戦の中でしっかり首位の座をキープした。

■3出塁3得点

 1イニング6失点&6点差から逆転負けした悪夢から一夜明け。試合前の練習時、チームにはどことなく緊張感が漂っているのを感じた。こちらも少し不安を持って見ていたが、1番今宮のいきなりの激走がそんな空気を振り払った。初回、河野の変化球を捉えた打球は大きく弾んで遊撃中島卓の前に転がった。歯を食いしばっての全力疾走。最後は左脚を大きく伸ばして一塁に到達した。遊撃内野安打。今季チーム5人目の1番打者が先制劇の起点となった。

 「絶対に負けたくなかった。どの打順でもやることは変わらないが、初回は(出塁を)意識していた。いい安打ではないが、良かった」。河野に立ち上がりから6球を投げさせ、後続に球筋を見せる役割も果たした。選手会長や主将の肩書こそないが、ベテランに対してもはっきりと意見を口にすることもある。強い影響力を持つ男の初回の姿がチームを勇気づけたことは間違いない。

 1-1となって迎えた2回は1死二、三塁から初球の低め変化球を左翼線へ運ぶ2点二塁打。結果的にこれがV打となった。ここ3試合の安打数は3、3、2で計8安打。「しっかりタイミングが取れている。体勢を崩されても粘りがある」と手応えのある内容で打率は3割目前となった。四球で出塁した4回もホームを踏み3得点。工藤監督も「(初回に)勢いをつけてくれた。(1番は)状態の良さを踏まえて。トップとして出てかえる、走者をかえす仕事を両方してくれた」とたたえた。

■打率3割目前

 結果だけではない。今宮がグラウンドにいることは“弟子”の躍動にもつながったように見えた。自主トレをともにした周東との二遊間、そして1、2番コンビ。今宮が指名打者だった25日は、遊撃の周東が一挙6失点に絡む悪送球の失策を犯した。試合中、頻繁に声を掛けた今宮は「自信を持って守れ」と伝えたという。

 そんな師匠の思いに励まされたのか、この日の周東は2安打3出塁。二遊間の連係も危なげなかった。1月、北九州市内での自主トレで汗を流した2人の息の合ったプレーが、首位堅守とソフトバンク通算1200勝目の原動力となった。

 今季の今宮は背中の張りなどを抱え遊撃手としては常に出場できていない。そんな状況に「正直モヤモヤはする。自分にもいら立ちがあるし、チームにも申し訳ない」と葛藤を口にしたこともあるが、決して態度には出さない。攻守にとどまらずチームに与える影響は多大だ。絶対に欠かせない男の存在感が一層際立った一戦だった。 (山田孝人)

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