何かできることは? 豪雨で被災の友人に尋ねた東京五輪代表 胸に刺さった返事

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で史上初の延期が決まった東京五輪開幕まで1年を切った。熊本市出身でボクシング男子ライト級代表の成松大介(30)=自衛隊=は五輪に向けたスケジュールが見通せない中、地元の熊本県が豪雨被害に遭った。故郷が苦境に陥った今、成松はリングに立つ意味を改めて考え直している。

 7月上旬、成松は会員制交流サイト(SNS)を通じて目にした故郷熊本の惨状に胸を痛めた。豪雨被害を受けた友人の実家の動画。1階部分が浸水し、泥だらけで、住めるか分からない状態だという。自身はリオデジャネイロ五輪直前の2016年4月、帰省中に熊本地震を経験。豪雨にも「安全な場所に避難して、みんなが安心してほしい」と願った。

 後日、その友人と電話で話す機会があった。「協力できることがあれば言ってほしい」と告げた成松は「一番は五輪で活躍することだから」と返された。「期待してくれてうれしい気持ちだった。ますます頑張らないといけない」。コロナ禍で東京五輪中止論も出る中、友の言葉に“闘う理由”を再確認した。

 一時モチベーションが下がっていた。右足裏の故障を抱えていたこともあり、五輪の延期自体は「正直、ラッキーだった」。ただ当面のスケジュールは全て白紙。海外遠征はもちろん、国内の試合もめどが立たない状況で「4、5月は全くやる気がなかった」という。

 治療や軽めのトレーニングを続けながら“心の回復”を待った。今後の見通しは依然として立たないものの、今は「ボクシングをやっているのが好き。目標はないけど、ただ楽しい」と思えるようになった。そんな時期にもらった友からのメッセージ。「やる気のない練習をしていたと言ったけど、これからはできませんね」と笑う。

■集大成へ2度目大舞台

 18年には山根明前会長体制下で行われた日本ボクシング連盟の助成金不正流用問題について証言。勇気ある行動でボクシング界を変えた。成松の言動の裏には一本気な性格がある。集大成となる2度目の大舞台。「ただ一生懸命やるだけ。その姿を見てほしい。どう感じるかは見た人次第ですけど、地元の人が喜んでくれたら幸せ」。1年後、全ての思いを拳に込めて闘う。 (伊藤瀬里加)

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