ソフトバンク東浜の右手に異変、それでも続投、降板に言い訳もなし

西日本スポーツ 長浜 幸治

〈鷹番が見た〉

 ◆ソフトバンク5-4西武(31日、ペイペイドーム)

 今季の開幕投手の意地だろう。山川と中村の本塁打で3点を先制された直後の3回の攻撃中だ。先頭の松田宣が遊ゴロに倒れると、ベンチを出た東浜はカメラマン席の前でキャッチボールを始めた。普段なら2死後のルーティンを早めた姿に「このままでは終われない」という思いを感じた。

 続く甲斐の内野安打から始まった一挙4点の長い攻撃の間、東浜はキャッチボールを続けていた。ベンチを出る前には右手の指を気にするしぐさを見せていたこともあり、マウンドに向かう際には森山投手コーチとトレーナーが寄り添って状態を確認した。

 マウンドでの投球練習を終え、森山コーチと短い言葉を交わした東浜は平然と続投した。7月17日のオリックス戦では2回にT-岡田の強烈な打球を右足に受け、一度ベンチ裏に下がって治療した後にマウンドへ戻った。6月12日の広島との練習試合でも初回に打球が左太ももを直撃しながら続投。今回も簡単には降板しないという責任感がひしひしと伝わってきた。

 逆転に成功した後の重要なイニングとなった4回はきっちり無失点。6回、先頭の中村を空振り三振に仕留めた直後、工藤監督は「大事を取って代わってもらった」と交代を告げた。強烈に印象に残ったのは、唇をかみしめ、うつむいたままベンチに戻った東浜の厳しい表情だった。

 「イニングの途中で代わってしまい、中継ぎに迷惑をかけてしまった。次はもっと長いイニングを任せてもらえるような投球がしたい」。広報を通じてのコメントにはアクシデントへの言及は一切なかった。

 東浜自身が「調子はあまり良くなかった」と認めるように、初回から制球に苦しんだのは事実だ。6月26日の前回対戦で2本塁打を許した山川にはまたも一発を許した。試合後にナインを出迎える際もいつもの笑顔はなかった。

 6回途中3失点。今回で規定投球回に達したものの、防御率も試合前の1・91から2・35となった。工藤監督は「指。人さし指か中指かはちょっと分からない」と明かしたが、納得いく投球でなかったことは間違いないだろう。それでも東浜の意地が詰まった95球がチームの勝利を呼び寄せた。そう思わせてくれる力投だった。 (長浜幸治)

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