東京パラ卓球のヒロイン候補 必殺サーブのお手本はあの人気グループ

西日本スポーツ 林 原弘

 魔法サーブの使い手が東京で頂点を狙う! 卓球女子知的障害(クラス11)の古川佳奈美(23)=博多卓球クラブ、福岡市出身=が、来年に延期された東京パラリンピックの代表に内定した。得意技は知的障害の選手では珍しい「しゃがみ込みサーブ」。2021年のヒロイン候補が初めてのパラ大会で飛躍の時を迎えようとしている。

■福岡市出身23歳

 待ち望んでいた決定が出たのは7月1日だった。日本知的障がい者卓球連盟などは東京パラリンピックの内定選手を発表。世界ランキング5位古川の初めてのパラ大会代表入りが決まった。「あまり実感が湧かない。『内定したんだな。ちゃんとしなきゃ』という感じです」と笑う。

 小学4年の時、知的障害と広汎性発達障害があると診断された。それでも体を動かすことが大好き。中学校では卓球部に入った。「これが楽しかった。同学年は小学校からの友人と私の2人だけ。試合にもすぐ出られた」。高校でも卓球部に所属。就職後も続けようと福岡県新宮町の「博多卓球道場」新宮教室に通い始め、今も師事する井保啓太コーチ(35)と出会った。

 井保コーチには「卓球を一から教えてもらった」。井保コーチは高知・明徳義塾中3年時に全国中学校大会16強に入り、指導者となってから知的障害者を教えた経験があった。古川について「最初は我流だったが、筋はいいと思った。ただ負けそうになると気持ちが切れる。『そんな卓球をしたら、親や僕も含めて応援してくれる人が悲しむぞ』と何度も言い聞かせた」と振り返る。

 それでも2017年のFIDジャパン・チャンピオンシップで古川は3位に入った。その帰路の空港で井保コーチに告げた。「しゃがみ込みサーブをやってみたいんです」。投稿動画サイト「ユーチューブ」で見て「かっこいい」と思ったのがきっかけという。

 しゃがみ込みながら全身を使ってボールに強い回転をつける「しゃがみ込みサーブ」は、16年リオデジャネイロ五輪女子シングルスを制した丁寧(中国)らトップ選手が使うが、動きが大きく知的障害者の習得は難しい。そこで井保コーチが取り入れたのはEXILEのダンスだった。1日1時間はサーブの練習に充てた古川は、踊りに合わせて動きをマスター。「サーブの打ち方が分かりやすくなった」。今では回転、曲がり方を変えて5種類以上打ち分けるという。井保コーチは「ここ2年くらいで、試合で完全に使えるようになった」と目を細める。

 2018年の世界選手権と昨年のジャパン・オープンで、16年リオデジャネイロ・パラリンピックを制したコスミナ(ウクライナ)を破って、ともに3位。昨年のジャパン・オープンと今年3月のスペイン・オープンでは、世界ランキング1位のプロコフェバ(ロシア)にフルゲームの末惜敗した。「特にジャパン・オープンではコスミナにも『勝てる』と思えた」と自信をつけた。井保コーチが挙げる課題はブロック。「プロコフェバはカットマン。ラリーを何回も続けられるようにしたい」と語る。

 コロナ禍で東京大会が延期となっても、古川は「中止か延期だと思っていたので、中止よりは良かった。今、大会があっても勝てません」と前向き。「もっとパワーアップして、金メダルを取りたい」と目を輝かせた。  (林 原弘)

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