引退決意のサファテ 帰国前、弟分・森唯斗に託していた「夢」

西日本スポーツ 石田 泰隆

タカ番記者コラム「好球筆打」

 ◆楽天4-2ソフトバンク(8日、楽天生命パーク)

 反撃が遅すぎた。4点を追う9回。バレンティンの三ゴロの間と松田宣の適時二塁打で何とか2点を返したが、あと2点届かず。チームは開幕2カード目以来のカード負け越しで、首位の座も楽天に明け渡した。

 「2点目は松田(宣)君が打ってくれたし、また明日に期待したいと思います」。試合後、工藤監督は努めて冷静に敗戦を受け入れたものの、首位を争う楽天に1勝4敗は痛い。しかも、きょう9日の試合はローテの谷間にあたり、今季1勝2敗と経験の浅い笠谷が先発。何とかもう1勝し、福岡に戻りたいところだ。

 それにしても8月は不安定な戦いが続く。1日の西武戦は先発石川が自身初、チームにとっても今季初完封勝利と幸先よいスタートを切りながら、4日からの楽天戦は1安打完封負けもあれば、中継ぎ陣が打ち込まれての逆転負けも2試合と波に乗りきれない。

 その影響を大きく受けているのが、守護神の森だろう。8月はここまで6試合を戦いながら、登板は6日の1試合のみ。リーグ2位の10セーブ、防御率も1.62と抜群の安定感を誇りながら、なかなか出番が訪れない現状は、チームにとってもマイナスでしかない。

 そんな森にとって、師と仰ぐサファテが引退の意を示した現実は「寂しい」の一言に尽きるという。サファテが絶対的守護神として君臨していた2017年まではともに勝利の方程式を担い、師が戦列を離れて以降は後を継ぐように抑えの座に就いた。18年には最多セーブのタイトルも受賞。今ではリーグを代表する抑えの一人にまで成長した。

 「デニスはどんな状況でも、チームのために身を粉にして投げる投手だった。守護神とはこうあるべきだということを言葉でなく、背中で示していた。感謝は尽きない。デニスが居たから、いまの自分がある」

 そう語っていたからこそマウンドで投げる姿が見たかったが、この日も出番がないままチームは敗れた。いまのホークスには打ち勝つ、あるいは先発完投といった期待が薄いだけに、何とか森をマウンドへ送り出す試合展開に持ち込まなければならない。それが勝利への“近道”だろう。

 引退を決意したサファテは帰国前、自身の「夢」を弟分に託していた。「250セーブは森に達成してほしい。そうなった時はセレモニーに呼んでほしいね」。名球会入りがかなわなかった兄貴分のためにも、森は覚悟を持ってマウンドに上がり続けるに違いない。 (石田泰隆)

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