後輩救ったソフトバンク柳田「おまえは悪くない。千賀が悪い」の真意

西日本スポーツ 山田 孝人

〈鷹番が見た〉

 ◆ソフトバンク8-7オリックス(11日、ペイペイドーム)

 2番に座った柳田悠岐外野手(31)の驚異の3ランで逆転に成功し、楽天と並ぶ首位を守った。1点ビハインドの6回に体勢を崩されながらもほぼ右手一本で右翼テラス席に逆転3ランを運んだ。6失点した5回に1イニング2失策した後輩の川瀬を救う一打でもあった。柳田は2回にも2ランを放ち、3安打5打点の大爆発。2試合連発のアーチで楽天・浅村らに並び14本塁打、打率3割8分5厘で2冠に立った。

 今シーズンに放ったどのアーチよりも、柳田が喜びを表現していたように見えた。1点を追う6回2死一、二塁、外角低めのスライダーを体勢を崩されながら最後は右手一本で捉えた打球は、右翼テラス席に消える逆転の14号3ラン。スイングの際にヘルメットが脱げ、髪をなびかせながらガッツポーズを披露した。

 大きな喜びの理由はダイヤモンドを一周した直後に理解できた。二走で先にホームを踏み、出迎えていた川瀬のそばに行った時。優しい笑みをたたえながら頭をポンポンポンとやった。

 5回に川瀬は2失策を犯してしまい、6失点につながる一因をつくってしまっていた。その川瀬が必死に四球を選んでつくった好機。柳田も自らの失策からチームが逆転負けしたことがあった。「若いしショックは相当でかいと思う」。誰よりも後輩思いの男が、この状況で燃えないはずがなかった。「何とかしたいと思った。技術的なことはよくわかんないですけど、本当に気持ちだけで打ちました」と納得顔を浮かべた。

 ベンチでは「おまえは悪くない。(打たれた)千賀が悪いんだ」と言葉でも励ましていた。「本当に明日からも気持ちよく野球をやってもらいたいんでね。そういう意味でも打ててよかった」。千賀への言葉の真意を問われると「エースって呼ばれてるんだから」。こちらは同期入団とはいえ、年齢的には後輩となる右腕への“らしい”励ましだったに違いない。

 右肘の手術明けだった今年2月の宮崎春季キャンプは2軍で調整した。実績があるだけに1軍の宿舎で過ごすこともできただろうし、2軍宿舎でも個室が与えられる立場だ。それでも「一人はさみしいじゃないっすか。みんなで一緒にいた方が楽しいっす」。希望して3人部屋で過ごした。

 明るい性格そのままに、部屋はいつも“開放”されていた。余った一室はゴルフのパッティングルームに。若手が集い、和気あいあいとした時間が流れた。その一方で野球に関する質問を受けると、いつも真剣な表情でアドバイスを送った。「さみしい」だけではない。リハビリの途上。チームの柱として通常なら接する機会の少ない後輩と交流し、何らかの役に立ちたいとの思いからだったはずだ。

 2回には2ラン。今季2度目の1試合2発で本塁打はリーグ1位タイ。打率は3割8分5厘でぶっちぎりの1位に立つ。「あんまり興味ない。チームのために出続け、打ちたい」。超人的な打棒だけではない。チームを思い、後輩を気遣う優しい心も柳田の魅力だ。 (山田孝人)

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