試合中の着信 達川光男氏の言葉に感じたソフトバンク柳田の「規格外」なところ

西日本スポーツ 石田 泰隆

タカ番記者コラム「好球筆打」

 ◆ソフトバンク6-0オリックス(12日、ペイペイドーム)

 ズボンのポケットに入れていたスマートフォンのバイブが着信を告げる。0-0の4回1死一、三塁というホークスの先制機だったから、この好機が落ち着いたらかけ直そうと“放置”していたのだが、一向に鳴りやむ気配がない。

 急用かとも思いポケットから取り出すと、そこには「達川ヘッド」と映し出されていた。説明するまでもない。2017、18年と工藤監督の下でヘッドコーチを務めた達川光男氏だ。だから、慌てて電話に出た。

 お話しするのは数カ月ぶりだったので、まずは「コロナ禍で大変な世の中になりましたね」と話題を振ると、日本各地へ足を運ぶ達川氏だけに、家での食事は「2階に運んで一人飯よ」と嘆いていた。さらに、お孫さんらとも「3日は経過せんと、会わんようにしとるんじゃ」と自宅でのコロナ対策を口にしていた。

 さて、そんな達川氏との会話の中身は当然ホークスの「強さ」についてだったが、中でも楽しそうに話していたのが母校・広島商の後輩にあたる柳田の活躍についてだった。試合前の時点で3割8分5厘の高打率。これには捕手出身らしく「今年は2ストライクに追い込まれたら無理に打ちにいかず、センターから逆方向を意識しとる。その我慢がいまの成績につながっとんじゃ」と分析していた。

 もちろん、柳田への思いはそれだけにとどまらず、こうも続けた。「去年けがをして野球できんかったことが、相当こたえたみたいよ。だから、今年はとにかく全試合に出たいと。その中で、やっぱり本塁打をたくさん打ちたい言うとったな」。高校、そしてプロ野球界の大先輩として、自慢の後輩という思いが言葉の端々から伝わってきた。

 そんな誇れる後輩は2試合連続3安打猛打賞で、打率を3割9分1厘にまで引き上げた。開幕直後ならまだしも、シーズンの3分の1以上を消化した46試合目で、だ。ここにきて打率を4割近くまで上昇させるのは、やはり規格外としか言いようがない。そんな選手を間近で見ていられるのは、幸せの一言に尽きる。

 そういえば、達川氏はこうも言っていた。「ギータは今年、あんまり盗塁せんじゃろ。またけがしてチームに迷惑を掛けたらアカン思うとんじゃろな。恐らく、まだ万全じゃないんよ」。盗塁に関してはこちらも同じ見解だったが、万全でないとまでは思わなかった。万全だったら、どこまで数字を伸ばすのか…。つくづく、規格外な選手だ。 (石田泰隆)

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◆17年近藤は50戦4割

 柳田が今季打率を試合終了時点で最高となる3割9分1厘まで引き上げた。ここまで全試合に先発出場の柳田は46試合目で初の打率3割9分台。2017年に日本ハムの近藤が開幕から故障離脱までの出場50試合で打率4割超(シーズン通算は57試合で4割1分3厘)だったが、今季の柳田はどこまで打率を上げるか。

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