なぜ打てた? 理屈を超えていく柳田の衝撃弾 工藤監督はどう見たか

西日本スポーツ 倉成 孝史

〈鷹番が見た〉

 ◆ソフトバンク4-1オリックス(14日、ペイペイドーム)

 4試合続けて2番に入った柳田悠岐外野手(31)が1-1の8回、工藤監督も驚く「規格外」の3ランを放って試合を決めた。好投の左腕山崎福に4球続けて外を攻められ「外だと思った」勝負球は内角ギリギリの直球。それでも体が反応して右翼席中段まで運んだ。リーグトップタイの15号でチームは今季最長タイの5連勝で単独首位に浮上。スーパースターがまた見ている人の期待や想像をはるかに上回るパフォーマンスを見せた。

 まさに「規格外」の頼もしさだ。また柳田が、そのバットで勝利をもたらした。同点の8回に、豪快すぎる決勝の3ラン。チームは今季最長タイの5連勝だ。「点が欲しかったところで、本当に神懸かったホームランを打ってくれた」。主砲の一発をたたえた工藤監督の表情が、紅潮するのも無理はない。

 指揮官が興奮気味に話したように、期待や想像をはるかに上回る結果を残すのがスーパースターだ。多くの野球ファンの方もそうだと思うが、記者も仕事上、成績やその時点での調子、試合状況による選手の心理状態を勝手に想像し、常に次の「展開」を予想しながら試合を見るように心掛けている。ということで、柳田が一発を放つ直前に描いていた、つたない「脳内」を披露してみることにする。

 1-1のスコアで迎えた8回。上林の四球後2死一、二塁となった場面で、柳田は打席に入った。9回には安定感抜群の森が控えるだけに、1点でも取って勝ち越せば勝利は高確率。4割近い打率を誇るだけに、しっかりとV適時打を放ってくれる-。これは「予想」ではなく「期待」だ。一方でスコアボードに目を移すと、この時点での出塁率は4割9分5厘。相手も簡単には勝負できる状況ではない。2打席に一度は出塁する柳田がしっかり四球を選ぶ→勝負強さピカイチの中村晃に満塁で回る→勝ち越し打-。これが偽らざる「予想」だった。

 そのつたない「予想」をはるかに上回った打席を振り返る。相手マウンドは、そこまで好調な打線を4安打に封じていた先発の山崎福。ここでも初球からナックルカーブ、ストレート、チェンジアップ、チェンジアップと丁寧に目先を変えながら、外角への攻めを4球続けてカウントは2-2となった。そして柳田自身も「外(角)だと思っていた」と振り返った5球目。内角ギリギリに構えられた捕手のミットめがけて141キロの直球が投げ込まれた。3、4球目のチェンジアップとの球速差は、20キロ以上。バッテリーとしては決して間違っていないであろう攻めであっても、今の柳田には通用しない。

 「たまたま。いい反応をしてくれた」と、鋭すぎるスイングでその内角球を捉えると、打球は右翼席中段へ突き刺さった。現役時に通算224勝を挙げた工藤監督をもってしても「あの球を打てるのは彼くらいしかいないと思う」と投手目線としては「お手上げ」の一打だと力説する。打った本人は「それまで力んでいたので(8回は)チャンスだけど逆に力を抜いた。リラックスして打席に立てた」。力を入れることは簡単でも、抜くことは容易ではないと思うが、それをさらりと言ってのけ、やってみせる。打率3割8分7厘、15本塁打、38打点。「心技体」で超ハイレベルにいる男を、もう誰も止められない。 (倉成孝史)

 ◆14号も「規格外」弾 柳田は11日のオリックス戦でも「規格外」の14号逆転3ランを放ち試合を決めた。1点ビハインドの6回。左腕斎藤の外角低めのスライダーに体勢を崩されてヘルメットを飛ばしながらも右手一本で捉え、右翼テラス席まで運んだ。工藤監督も「あれだけ泳がされて、あそこまで飛ばすのは彼しかできない」とびっくり。

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