ふいに壊れる日常…アイドルをしている意味とは HKT月イチ報告(下)

西日本新聞 古川 泰裕

 7月17日にお披露目された新しい専用劇場「西日本シティ銀行 HKT48劇場」について、松岡菜摘(24)、熊沢世莉奈(23)、坂口理子(26)、宮崎想乃(19)の座談会は続く。新たなステージで過ごす日々について期待が膨らむ中、旧専用劇場を知る3人はかつてのホームに刻んだ思い出を振り返る。汗をかき、笑顔を交わした劇場公演を懐かしみながら願うのは、やはりファンとの再会。新型コロナウイルスや豪雨で失われていく日常、そして命についても触れながら、大きくうねる時代の中で『アイドルをしていること』の意味を考えた。(古川泰裕)

立ち見の席が後ろになるの懐かしい

 -宮崎さんをはじめ4期生は専用劇場を知らない。

 宮崎「活動5年目になるけど、5年目でも知らないんだって思うと、不思議な気持ち」

 松岡「変な感じ」

 -若田部遥さんが蹴って開けたという旧専用劇場の壁の穴も知らないのか…。

 熊沢「ああ、懐かしい」

 宮崎「楽屋に行くまでの通路を見て、先輩が懐かしいって言っていたけど、こっちからしたら『初めまして』だった」

 坂口「裏の動線(通路)が、ホークスタウンの裏と壁の素材が一緒で。懐かしい、みたいになった。そこが5期生とか4期生の思い出の地になるって考えたら感慨深いですよね」

 松岡「ステージはセリがないから…不思議な感じかも。今まで(西鉄ホールなど)もなかったから、感覚的には変わらなそうじゃない?」

 宮崎「『今日はどこの会場?』っていうのがなくなるのがうれしいです。毎回毎回『今日どっちだっけ?』ってならないのがうれしい」

 坂口「『うそ! スカラ(エスパシオ)バージョン? やばい、やばい』ってね(笑)。この話も懐かしくなるっていうことですよね」

 松岡「いつも(坂口)理子ちゃんに『奇跡は間に合わない』の振り入れをしてもらいよったよね。そっか、なくなるのかぁ」

 熊沢「(新劇場は)今まで立ったステージよりは、高さがけっこうなかったなって感じました。お客さんが入ったらどんな感じで見えるんだろうなってわくわくしました」

 -ステージから落ちてけがをする人は減りそう。

 松岡「まいこむ(笑)」

 ※まいこむ→卒業した深川舞子さん。足を踏み外して落下したが、すぐに立ち上がってピースサインで無事をアピールした

 宮崎「懐かしい(笑)」

 坂口「伝説すぎる(笑)」

 松岡「クセ強い人しかおらん(笑)」

 坂口「ツイッターに座席表の写真を載せて『どこに座りたいですか』って聞いたんですよ。それを考えるのがファンの人も楽しかったらしくて。左側に一つだけ、ぽつんと席があって。実際使うのかは分からないけど、みんなそこに座りたいって言っていました」

 松岡「立ち見の位置も変わるし。立ち見の席が後ろになるの懐かしい。(旧専用劇場では)いっつもあそこでストレッチをしていた」

 熊沢「やっていたねー」

 坂口「私、初めて『手をつなぎながら』公演を見に行った時、立ち見でした。(入場順を)抽選するっていうのを全然知らなくて。みんなグイグイ行って女の子に全然譲ってくれなくて『我こそは』みたいな感じだった(笑)」

 松岡「で? 誰推しになったんやった?」

 坂口「なっちゃん」

数々の伝説を残した深川舞子さん(中央)。今年2月の卒業ライブで、松岡菜摘(右)、村重杏奈(左)と「遠くにいても」を歌う

スタッフさんにささげる「毒蜘蛛」

 -ステージ両脇に花道がある。

 熊沢「片方だけ、ちょびっとしかない」

 坂口「逆がすごく長いみたいな」

 松岡「けっこう長いよね」

 -客席に人がいる状態でのパフォーマンスは2月の劇場公演以来だった。

 松岡「最後やるはずだった公演がチームHで、リハーサルをやっていて。『中止です』みたいな」

 宮崎「懐かしい!」

 坂口「1%開催の確率があるので、一応『毒蜘蛛』だけやりましょうってなって。スタッフさんにささげる毒蜘蛛(笑)」

 松岡「違う歌にしろや(笑)。『引っ越しました』とか」

 坂口「音量チェックのためとかで、1%の可能性のために、一応やったのが思い出です」

 松岡「本当に日常が戻ってきてほしい。でも、誰もどうしようもないから…。今はレッスン場で(ライブを)配信しているけど、ちょっとずつ状況が良くなってきたら、劇場でも配信とかできるのかなと思いますけど。やりたいよね、早く」

 坂口「やりたいです。早くステージに立ちたい」

 松岡「私たちが元気をあげるためにアイドルになったつもりだったけど、ファンの人に励まされていたなって、メンタルが弱ってから思いました。定期的に、握手会とか公演で『かわいい』って言ってくれたり『頑張っていたね』ってほめてくれたりしていたから、それで自分のメンタルが支えられていたなって。今は会員制交流サイト(SNS)しかないから、やっぱり顔を見て話したり、表情を見たりっていうのは…ありがたみというか…」

 坂口「大事。パワーのもらい方が全然違うというか…。私たちが一方的に『SHOWROOM』とかで配信することはできるけど、ファンの人の顔は見えないじゃないですか。今どんな生活をしているのか、とか」

 松岡「だって、毎週会っていたからさ…」

 坂口「私たちも、逆に不安になりますよね。SNSをしなきゃ、みんなにやっぱり…」

 宮崎「その人の中で薄れていく…」

 -SNSを更新したり、動画配信をしたりしないと、お互いに何をしているか分からない。

 坂口「そうですね、本当に何もしていないみたいになっちゃう」

 松岡「ちゃんとご飯食べている? みたいな反応が来るよね」

 宮崎「直接『明けましておめでとう』すら言えていない人もたくさんいる」

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