「工藤チルドレン」1期生が親孝行、ソフトバンク二保の好投が負の流れ止めた

西日本スポーツ 倉成 孝史

〈鷹番が見た〉

 ◆ロッテ2-3ソフトバンク(22日、ZOZOマリンスタジアム)

 旭の「熱き心」が、勝利に結びついた。2点リードの7回。グラウンド上は1死二、三塁と一打同点の大ピンチだったが、私の視線は降板したばかりの二保を追っていた。直前に大粒の雨が降りだしていたが、右腕が立っていたのはベンチの最前列。雨にぬれていることにまるで気付いていないかのように、強い申し訳なさと祈りが混在したような表情でマウンド上を見つめていた。

 ピンチで2年目の板東を登板させてしまうことになった自身へのふがいなさと、チームの連敗を止めたい思いだけだったと思う。板東が冷静に田村を打ち取り2死となっても、二保の表情は変わらない。抑えてくれ-。体中からその願いがにじみ出るようだったが、2死から打席に入った代打佐藤の打球は中前で弾んだ。2点を奪われ同点。ここで二保の白星は消えた。だが、直後の攻撃で柳田の一打で再び勝ち越し。チームの連敗は止まった。試合後の二保は、満面の笑みでナインとタッチを交わした。

 「初回から気合と気持ちの入ったボールを投げていた」と工藤監督も絶賛したように、自身の白星こそなかったが、チーム状況を考えても勝ちに等しい好投だった。初回からストライク先行のリズムある投球で、6回まで無失点。前日まで投手陣に「四球病」がまん延していた中で、与えた四球は三つと、逃げずに勝負する姿勢を貫き、チームに5試合ぶりの勝利をもたらした。

 白星に等しい投球を見せた右腕をたたえた指揮官の表情を見て、5年前のことを思い出した。2015年。12年途中に支配下登録されて3年間で1軍登板わずか8試合だった二保は、工藤監督の就任1年目だったこの年、中継ぎとして44試合に登板しプロ初勝利を含む6勝をマークした。このシーズン後だと記憶しているが、それまで「無名」だった右腕をなぜ1軍で使い続けようと思ったのか、その理由を指揮官にたずねたことがある。「強い気持ちというか、『打てるもんなら打ってみろ』というような姿がいいじゃん」。二保の「ハート」を買ってのことだと返してくれたことをはっきり覚えている。

 その翌年に右肘手術を受けて2シーズン登板がなかったが、18年に復帰して35試合に登板すると、今季は初の開幕ローテ入りも果たした。ここまで開幕投手の東浜が10試合の登板で30四球、エース千賀は7試合で21四球を与えている中、二保は9試合で17与四球。「打てるものなら、打ってみろ」。旭の「熱き心」が、負の流れを止めた。 (倉成孝史)

 二保(7回途中2失点)「ブルペンでの調子があまり良くなかったので開き直って投げた。リズム良くストライクゾーンに投げ込むことができたと思います。守備にも、高谷さんのリードにも助けてもらい、何とか抑えることができた。ただ、7回もマウンドを任せてもらったからには最後まで投げ切りたかったし、ピンチでの登板になってしまった板東に本当に申し訳ない」

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