1年ぶりの復活白星 「脳をだませば」ソフトバンク武田の完治への思考

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

〈鷹番が見た〉

 ◆ソフトバンク9-1日本ハム(28日、ペイペイドーム)

 こみ上げる喜びさえも、静かに消化しようとしていたのだろう。昨年11月に右肘にメスを入れた武田が今季初登板で7回1失点に抑え、昨年9月1日の西武戦以来362日ぶりの勝利を手にした。新人から9年連続の白星。お立ち台でスポットライトを浴び、会見場に現れた右腕は「勝因」について、こう語った。

 「どれだけ気にならないかだけを考えた。調子がいいときは、何も考えなくていい。フォームとか、肘の痛みとかに意識が行った時点でおかしいので」

 約10カ月半ぶりの1軍マウンドに立つと、すぐに普段との違いを感じた。「初回は緊張で地に足が付いていない感じだった」。2死三塁、中田にこの日最速の151キロを右前への先制打とされた。

 「無」の状態に近づくため、心も体も波をつくらないように努める。興奮に気付いた右腕は呼吸の仕方を変え、冷静さを取り戻した。4回1死一塁、渡辺を三ゴロ併殺に打ち取ったかと思われたが、リプレー検証で一塁の判定が覆った。間合いが乱れても、続くビヤヌエバから外角147キロで見逃し三振を奪った。

 「けがのせいにしていた」。昨年のシーズン中から覚えていた右肘の違和感。ただ手術が成功すれば求める投球ができるものだと思っていた。

 現実は違った。今年6月に実戦復帰しても2軍戦で打ち込まれた。患部に「重たい」感じも残った。「(原因は)フォーム、ボール、間合いじゃない。どこか。脳だと。だから脳を変えよう」。夏本番を迎えようとするころ、たどり着いた答え。「体が悪いのではなく、頭で違和感を覚えていた。脳をだませば(完治を)受け入れられる」

 私生活から気持ちが一瞬高ぶってもすぐ切り替えるようにした。すると左足を上げてからグラブを動かし始める独特なリズムの投球フォームがしっくりきた。8月21日のウエスタン・オリックス戦で8回無失点に抑えると、東浜が首の張りなどで登板間隔を空けることになって巡ってきた復帰戦でも快投を見せた。

 「一皮? いや二皮も三皮もむけた。でも、まだ訓練の途中です」。喜びがにじむ言葉。その中にも高ぶる心を落ち着かせようとする姿勢が見えた。 (鎌田真一郎)

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