吠えたソフトバンク千賀の胸中 またエースとまた呼んでもらえるように

西日本スポーツ 山田 孝人

〈鷹番が見た〉

 ◆楽天0-2ソフトバンク(8日、楽天生命パーク宮城)

 チームの苦境で、エースはその責任を見事に果たした。千賀滉大投手(27)が今季最長の8回を投げて無失点に抑え、今季最多の13三振を奪って6勝目。初回は3者連続三振で滑り出し、ピンチでも動じない。本拠地で2位ロッテに3タテを食らって仙台に移動したチームを救った。零封で連敗を3で止めたホークスは首位をキープ。右腕の圧巻の投球を弾みにして、再び勢いに乗りたいところだ。

 こんな千賀を見たかった! ホークスファンの誰もが待ち望んでいたはずだ。チームは本拠地でロッテに3連敗を喫し、台風10号の影響を受け、2日がかりで仙台入り。そんな苦境を右腕は一変させ、連敗を止めた。「本当に、流れがいきそうなところは正直あった。流れを断ち切る気持ちでマウンドに上がり、それができた」と胸を張った。

 初回からアクセル全開だった。岡島は153キロ、田中は3球目の155キロの直球で、浅村は伝家の宝刀フォークボールで3者連続空振り三振。「今年初めて自分の球を投げられた」。深くうなずいた。

 7回に先頭田中の打球を左足つま先付近に受け、内野安打となった。四球も絡んで2死満塁。それでも表情を変えない。銀次を内角の155キロで見逃し三振。ようやく感情を出してグラブをたたいてほえた。今季最長の8回、同最多の13三振を奪い、無失点で6勝目。最後まで姿勢を崩さなかった。

 前回登板の1日のオリックス戦。6回に4四球を与えて崩れ、3敗目を喫した。突然の乱調で“独り相撲”。思わずマウンドでしゃがみこんだ。工藤監督も「エースの責任感の中でこの1週間を過ごしてほしい」と厳しかった。

 それだけにこの1週間は一層思いのこもった時間だったはずだ。そんな中で取り組んだフォーム修正が奏功。この日最速159キロの直球には力があり、苦しんできたフォークでも4三振を奪った。「この感覚を思い出しながら戦い(フォームを)詰めていく」と、さらに上を見据えた。

 試合前の工藤監督も期待を高めていたようで「千賀は見られてああなりたい、まねをしたいな、と思われる選手。そういう姿を」と話していたが、右腕は見事にグラウンドで体現。千賀は「今日はいい姿勢でマウンドにいられたのでは」と手応えを語り、すぐに「たまたまにならないように」と気を引き締めた。

 今は「エース」と呼ばれることにも違和感があるのだろう。「今年のこれまでの内容、姿勢を見ると、僕は全く(エースと)感じなかった。はたから見ていても。こういう投球を続けていき、また呼んでもらえるように」と言い切る。

 8回で108球。9回については「今はまだまだ。不安なく行けます、と言えるように」。まだ万全ではない。ただ9回も当然のように腕を振る「エース千賀」の姿が見られるのも、そう遠くないはずだ。 (山田孝人)

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