コロナ禍に豪雨が追い打ち はい上がるJ3熊本、ジュニアチームも「地域のために」

西日本スポーツ 松田 達也

〈現場で見た〉

 ◆明治安田生命J3第15節 熊本2―0相模原(12日、えがお健康スタジアム)

 J3ロアッソ熊本はホームでSC相模原に2-0で快勝し、勝ち点32として自動昇格圏内の2位をキープした。後半17分に途中出場した浅川隼人(25)が同19分に先制点を奪うと、同43分にも追加点を決めた。7月に発生した熊本県の豪雨災害から2カ月あまり。同県内の被災自治体に住む小中高生を無料で招く「ゆめチケ」企画をスタートさせた試合で、2試合ぶりの勝ち点3をつかんだ。試合のなかった首位秋田には勝ち点1差と迫った。

 コロナ禍で入場者に制限がかかる上、3万人を超える観客を収容できるホームだけに、記者席から見たスタンドは空席が目立つ。入場者数は1769人。それでもロアッソが好機をつくるたび、さらに快勝の試合後にはサポーターの温かい手拍子が大きく響いた。

 台風の影響で6日に予定されていた長野戦が9日に延期され、中2日での試合だった。中盤を支えた河原は「みんなでカバーしてやれた」と振り返った。今季はコロナ禍とともに、自然災害との闘いも続く。

 7月に発生した熊本県の豪雨災害から2カ月あまり。地域とともに復興を目指すクラブの取り組みについて、ロアッソの運営会社「アスリートクラブ熊本」の蔵原信博専務は「ロアッソは“おらが村”のチーム。選手たちも熊本のためにできることはないか、と考えている」と語った。

 7月の豪雨直後、被害状況が明らかになると、選手から「被災地の支援に行きたい」と声が上がったという。だが、新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れていたリーグ戦が始まったばかりの時期でもあり、蔵原専務は「選手には申し訳ない気持ちだったが、感染の心配もあった。その代わりにできることをやろうと話した」と振り返る。

 クラブはスポンサーの被災状況を確認し、募金活動や支援グッズの作製、販売のほか、スポンサー企業の商品を試合会場で販売するなどを行った。この試合からは、同県内の被災自治体の小中高校生をホームゲームに無料で招く「ゆめチケ」企画もスタートさせた。

 クラブ自体も豪雨被害の当事者だ。4月、熊本県人吉市にジュニアユースチームを設立したが発足直後、コロナ禍で活動中止。追い打ちをかけるように襲われたのが豪雨災害だった。そんな苦境でも、新たにロアッソの一員となった中学生は「地域のために何かできないか」と地元への貢献を望んだという。

 2016年の熊本地震の際にも、当時所属していた元日本代表の巻誠一郎氏をはじめ、選手たちがボランティア活動などを続けてきた。熊本ジュニアユース出身の河原は「地元のチームでもあるし、自分たちがプレーしている姿を見て、皆さんが元気になってもらえたらいい」と力を込めた。

 この日は主導権を握りながら、得点できない時間が長かったが根負けしなかった。集中力を切らさなかった要因の一つは間違いなく声援の力だろう。地域とともに高みを目指し、険しい道のりを乗り越えていくクラブの覚悟が感じられた。 (松田達也)

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