体操内村「悔しい、どうして、しょうがない…」複雑な思い抱えた初めての1分間

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

 ◆体操・全日本シニア選手権(22日、群馬・高崎アリーナ)

 体操男子個人総合で五輪2連覇中の内村航平(リンガーハット)が種目別鉄棒に絞ってからは初めての実戦に臨み、14・200点で6位だった。

 ちょうど1分の演技で、内村は“スペシャリスト”の難しさを痛感した。

 「ちょっとよく分からない空間に放り込まれた感覚」

 冒頭で公式戦初挑戦したH難度の「ブレトシュナイダー」は落下への恐怖心からバーに近づきすぎた。かろうじてつかんだが、バランスを崩して大幅減点。その後はミスなくまとめたものの、しかめ面を浮かべた。

 「自分としては悔しい気持ちが8割。あと1割は『どうしてだろう』。もう1割は『まあ、しょうがないかな』という気持ち」

 痛めていた肩への負担を考慮し、今年2月に個人総合から鉄棒一本での勝負を決断した。種目別の選手として初めて挑む今大会は昨年大会以来、389日ぶりの公式戦だった影響も重なり、戸惑いは隠せなかった。

 約2時間かけて6種目を演じていた頃は「最初からトップギアを入れない。最初は2速くらい。そこから上げて、最後の鉄棒でトップギアにしている」と振り返る。「そこを1種目だけだと、最初からトップにはできない」。実戦勘の不足で「一概には言えない」というが、ペース配分の違いによる心身のコントロールは、今後への課題だ。

 種目別転向後は体育館での練習日を増やし、通し練習も週に2回から3回に増やすなど、調整法も試行錯誤を続けている。今大会も「実験」と位置づけていた。試合を終え、「場数を踏めばいけるものなんじゃないかな」と手応えも口にした。

 来年の東京五輪へ、「体操って難しいんだなと感じた。頑張っている若い子たちに負けじと五輪に出場して、昔のような輝きを放ちたい」と意気込みを語った。「1分で今まで表現できていた以上のことを表現しないといけない」。究極の“1分間”を追い求め続けた先に、新しいキングの完成形が見えてくる。(伊藤瀬里加)

PR

スポーツ アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング