スクイズ、モイネロに今季初の回またぎ…ソフトバンク工藤監督が見せた執念采配の意図

西日本スポーツ 倉成 孝史

〈鷹番が見た〉

 ◆楽天1-4ソフトバンク(1日、楽天生命パーク宮城)

 執念タクトで2位ロッテに再び1ゲーム差!! 6回まで楽天岸にわずか1安打に封じられた首位ホークスが鮮やかな逆転勝ちだ。攻守で工藤公康監督(57)の采配が的中。2番手松井を攻略した7回に甲斐のスクイズで決勝点を奪うと、3番手モイネロを今季初めて「回またぎ」で使う継投も繰り出して4カードぶりに勝ち越し。正念場の10月を白星発進し、日本ハムに敗れた2位ロッテとの差を1ゲームに広げた。

 10月突入と同時に、工藤監督がVへの「ギア」を力強く踏み込んだ。前日9月30日は6点差で大敗。2位ロッテにわずか勝率1厘差まで肉薄され、首位陥落の危機に直面して迎えた今月初戦で、「一戦必勝」の執念采配を繰り出して値千金の1勝をもぎとった。

 試合後に「今日に関してはすいません。いかせていただきました」と口にしたように、なりふり構わずに白星を奪いにいった。楽天の継投を追い風に逆転した直後の7回。1死一塁で石川からマウンドを引き継いだ嘉弥真が2死一、二塁とすると、すかさず動いた。

 3番手でマウンドに送ったのはモイネロだ。左腕から同じ左腕への継投。今季の嘉弥真は防御率1点台中盤と抜群の安定感を誇っているが、1点差を守り切るために石橋をたたいた。防御率は1点台前半で、嘉弥真以上の信頼度を誇る助っ人左腕へとつないだ。

 一打同点、長打なら逆転の状況で、モイネロは小深田を153キロ直球で空振り三振。2点リードに広がった8回も続投し、2番からの好打順を3人で片付けた。「少し難しい場面での登板でしたが、自分らしい投球ができた」。今季41試合目の登板で初の「回またぎ」で期待に応えた。

 以前から「(勝負は)残り20試合くらいだと思っている」と采配のギアを上げるのはまだ先との考えを示していた工藤監督は、最終盤を見据えて救援陣の蓄積疲労に細心の注意を払ってきた。チーム最多登板のモイネロも3日連続の登板はここまでない。

 ただ、右膝痛で登録抹消となったデスパイネを欠いて臨んだ一戦は、敗れれば4カード連続の負け越しとなるだけに、絶対に落とせなかった。正念場で繰り出した「回またぎ」は、工藤監督が「今までやっていなかったので、行かせるのはどうかなと思った」と明かした勝負手の一つだった。

 攻撃でも執念で決勝点をもぎとった。6回まで岸に1安打に封じられながら、7回に2番手の松井を攻略。1死一塁で右中間へ同点二塁打を放った栗原が送球間に三塁まで進塁すると、続く甲斐の3球目に出したサインはスクイズ。高めの変化球をきっちり投前へ転がすと栗原がヘッドスライディングで生還した。

 「執念というか、絶対に決めるぞといった思いが詰まっていた」。工藤監督は選手の勝利への強い思いを喜んだ。敵地仙台での今季最終戦を白星で飾り、4カードぶりに勝ち越し。敗れたロッテとの差は再び1ゲームに開いた。「しっかりこのままいい戦いができるように」。残り31試合。この1勝を必ず10月の再加速につなげる。 (倉成孝史)

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