場内どよめき…女子短距離にまた新星 驚きの急成長、「圏外」から日本歴代3位

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

 ◆陸上日本選手権(3日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)

 フィニッシュタイマーに掲示された記録は「22秒98」―。福島千里(セイコー)に次ぐ日本女子2人目の22秒台かと会場がどよめく中、鶴田は一人、「気づかなかった」ときょとんとしていた。結局、正式タイムは23秒17。それでも向かい風0・1メートルの条件下でたたきだした日本歴代3位の快記録に「正直驚いています」と目を丸くした。

 初の日本選手権で、前日の100メートルは2位と健闘。「最後なので悔いのない走りをしようと思った」。抜群のスタートを切ると、コーナーからは他を寄せ付けなかった。

 1年前は想像もしていない光景だ。全国制覇の経験はなし。大東大4年時の自己ベストは100メートルが11秒89、200メートルが24秒43で、日本選手権の参加標準記録も持っていなかった。卒業後は今年開催予定だった地元の鹿児島での国体に向けて、南九州ファミリーマートに就職。今季の目標は「国体で入賞」だった。

 所属先で午後3時ごろまで事務の仕事を行い、その後は鹿児島南高で県の強化部長を務める新開浩一コーチの指導を受ける。新開コーチも驚く努力家で、休日を中心に長い日で1日5時間ほどの猛練習。コロナ禍で競技場が使えなかった間は、約120メートルの坂ダッシュなどを繰り返した。

 フォームに大きな変化はないが、継続してきた取り組みが実になり、後ろ足が流れる悪癖を改善。足の運びがスムーズになり持ち味の接地のうまさが生きるようになった。自粛明けは好記録を連発。7月末に今大会の参加標準記録を破り、大舞台への挑戦権を得た。

 32歳の福島の後継者不在に悩む短距離女子に、100メートルを制した21歳の児玉芽生(福岡大)に続き、またも現れた23歳の新星。高まる期待にも「あまり意識をしたことはない。そういったレベルで戦ったことはないので…」と戸惑いを隠せない。そんな遅咲きの大器が、東京五輪が行われる来年、旋風を巻き起こすかもしれない。(伊藤瀬里加)

PR

陸上 アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング