陸上関係者も喜ぶ九州コンビの台頭 女子短距離界に明るい話題

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

 肌寒くなった新潟を、遠く離れた九州からやってきたスプリンターたちが熱くした。1~3日に行われた陸上の日本選手権で女子の100メートル、200メートルはいずれも21歳の児玉芽生(福岡大)、23歳の鶴田玲美(南九州ファミリーマート)がワンツーフィニッシュ。100メートルは児玉、200メートルは鶴田が好記録で制した。

 児玉は9月に100メートルで日本歴代3位の11秒35をマーク。今大会も予選から安定して好タイムを連発し、決勝は自己ベストに0秒01差に迫った。2位だった200メートルも日本歴代7位の好走。小学生からの各年代で日本一の経験がある逸材が、シニアでも本格的に花開いた。

 一方の鶴田は女子短距離では珍しい遅咲きだ。大東大卒業後の今春、鹿児島国体を目指してUターン就職。これまで全国制覇の経験はなく、昨年までは100メートル、200メートルとも日本選手権の参加標準記録すら届かなかった。それが今季、記録が飛躍的に向上。同選手権200メートルでは日本歴代3位の23秒17を出し、ベストは1年間で100メートルが0秒4以上、200メートルは1秒以上も更新した。

 待望していた若手の台頭だ。100メートル、200メートルの日本記録保持者で五輪3大会連続出場の福島千里(セイコー)はリオ五輪後は不振。後継者と呼べる存在も出ていなかった。短距離2種目の東京五輪参加標準記録は日本記録よりも高く、男子が金メダル候補の400メートルリレーも女子は出場権すら獲得していない。地元五輪に誰も送り込めないピンチに陥っている。

 まずはリレーの出場権獲得を目指し、日本陸連は2018年末に女子リレー強化プロジェクトを発表するなど対策を打ってきた。個人の走力で、安定して100メートル11秒40台前半を出す選手をそろえることが目標だが、今季は100メートルで児玉が11秒30台、鶴田が11秒40台をマーク。今大会では大一番での強さも見せ、山崎一彦トラック&フィールドディレクターを「低迷していた女子の100、200に復調の兆しが見えた」と喜ばせた。

 児玉は「鶴田さんと切磋琢磨(せっさたくま)して女子短距離を盛り上げたい」と意気込み、鶴田は「今年だけじゃ意味が無い。来年もしっかりと同じレベルで」と誓う。一人で「ポスト福島」の重圧を背負うより、2人で競い合いながら高みを目指す形は理想的だろう。2人の好走に刺激を受け、相乗効果で他の選手も成長する可能性もある。女子スプリント界に光を照らす九州コンビの躍進を目の当たりにして、心が躍る3日間だった。 (伊藤瀬里加)

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