プロ注目、独立Lの153キロ右腕は大学登板ゼロだった 元ドラ1腕のもとで開花

西日本スポーツ 末継 智章

 福岡で白球を追った2人の無名右腕が26日に開催されるドラフト会議の指名候補に急浮上している。独立リーグ、ルートインBCリーグ栃木の石田駿(23)と手塚俊二(21)だ。2009年にドラフト1位でソフトバンクに入団し、16年までプレーした巽真悟コーチ(33)のアドバイスを受け、球速がアップするなど急成長。恩返しのためにも、けがなどもあってプロ通算1勝に終わった同コーチの分まで活躍する覚悟だ。(末継智章)

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 元ソフトバンクの川崎が栃木でデビューした9月13日の茨城戦。3番手で登板した石田が先頭打者を150キロの直球で打ち取ると、サイドスローとは思えない球速にスタンドは沸いた。1回無失点に抑えながらも「いつもより球に勢いがなかった」。単打と四球で走者を出した内容を反省し、意識の高さをうかがわせた。

 入団1年目の今季、最速153キロの直球を武器に中継ぎの要を担うが、6月のデビュー戦が高校1年以来の公式戦だった。制球難を克服するために2年から横手投げに変えたがベンチ外が続き、3年春には右足首を骨折。高校時代の監督から薦められて進学した九産大でも同級生の福森耀真(現楽天)ら分厚い投手陣の壁に阻まれ登板機会はなかった。

 「146キロを出していたのに、ここまで来て試合に出られないのか…」と挫折したが、知人の紹介で独立リーグへ。栃木入団後、巽コーチと出会ったのが分岐点になった。立ち投げを受けた巽コーチは「球威がプロレベル。ホークスでも千賀や石川の球に感じていたが、サイドスローでは似た選手が思い浮かばない」と素質の高さに衝撃を受けた。

 ホークス時代、右肩の故障に悩まされ続けた巽コーチ。春先に肘の違和感を覚えた石田に無理をさせず、速球を生み出している下半身の瞬発力やばねを高めるトレーニングを促した。常時150キロが出せるようになると、さらに自身の経験を石田に注入した。

 制球難に苦しむ石田に対し、自身も現役時に際どいコースを狙いにいった投手心理を踏まえつつ「まっすぐに力があるのだから、厳しいコースを狙う必要はない。四球を与えてもいいから三振を取りにいけ」とアドバイス。石田は「実績も何もなくて自信がなかったけど、巽さんの言葉で気が楽になった」と球威で押す投球に徹し、投球回数を上回るペースの三振を奪うようになった。

 8月末からは直球を生かすためにシンカーを練習。当初はチェンジアップのような緩やかな軌道にしかならなかったが、巽コーチから「その球をシンカーと呼び続ければ、シンカーを意識したフォームになる」と助言され、徐々に鋭く沈む軌道になってきた。「投球の幅が広がった。ここまで成長できたのは巽さんのおかげ」と感謝する23歳は「プロで抑えとして活躍したい」と恩師の分まで晴れ舞台で輝く未来を描いている。(末継智章)

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