「寮に残って全員でコロナを乗り切る」 青学大陸上部の挑戦と葛藤

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

〈大学生アスリートのいま〉

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けたスポーツ界で、大学生の秋冬シーズンが始まった。コロナに翻弄(ほんろう)されながらも、乗り越えた注目の競技、大学、選手を通して、大学生の「いま」を追う。

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 今や国民的行事となった大会が「ウィズコロナ」時代の歩みをスタートさせた。17日、箱根駅伝(来年1月2、3日)の予選会が実施された。今回は感染拡大を防ぐため、無観客の陸上自衛隊立川駐屯地の周回コースを走ったが、本番は通常コースでの開催を目指す。

 「ありがたい。あのコースを走るから箱根駅伝」。今年の正月に総合優勝を果たした青学大の神林勇太主将(4年・九州学院高)は中止も覚悟しただけに関係者の尽力に感謝する。例年は沿道に100万人超が詰めかけるが、主催者は「密」を避けるためテレビ観戦を呼びかけ、集団応援や配布物の禁止も決めた。神林も「走らせてほしいと願うと同時に、私たちは私たちでやれる感染予防を最大限に」と誓う。

 青学大陸上部長距離ブロックは部員47人が二つの寮に分かれて暮らす。緊急事態宣言が発令された4月上旬、部活動を禁止した大学もある中で原晋監督は「寮に残って全員でコロナを乗り切る」と提案。感染のリスクなどの不安から「どうして(地元に)帰してくれないのか」と声も上がったが、主将自身も競技にも向き合いながら集団生活を送ることを決断した。

 極限まで体を絞るために風邪をひきやすい長距離選手は日頃も体調管理を徹底していた。うがい、手洗いは当然で、さらに検温や厳しい外出制限も課した。神林が「これで感染したら仕方ない」というほどの対策だ。

 体力面でも練習量は例年の8割程度にとどめた。周辺住民に配慮し、普段は走って往復する寮とグラウンドの移動を一時は分散しての自転車移動に切り替えた。下級生のストレスを和らげるため、原監督は上級生に配慮も求めた。「こうすべきだと言うところを我慢した部分があった」。神林も葛藤を抱えながら、チームを束ねてきた。

 「大学三大駅伝」の一つ、出雲駅伝が中止となるなど異例の活動となる中でも今月上旬にあった5000メートルの記録会では、11人が13分台の好タイムをマーク。「強い青山学院の雰囲気というのが出来上がっている」。11月1日には今季の駅伝初戦となる全日本大学駅伝が行われる。新様式で迎えるシーズンが幕を開ける。(伊藤瀬里加)

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