日本選手権で表彰台に続々…福岡大の陸上部、コロナ禍で大躍進の理由

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

〈大学生アスリートのいま〉

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けたスポーツ界で、大学生の秋冬シーズンが始まった。コロナに翻弄(ほんろう)されながらも、乗り越えた注目の競技、大学、選手を通して、大学生の「いま」を追う。

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 コロナ禍の中でも著しい躍進を見せたのが福岡大陸上部だった。「選手の頑張りとチームとしての日常的な活動がかみ合った」。男子砲丸投げ元日本記録保持者の野口安忠投てきコーチは充実のシーズンを振り返った。

 緊急事態宣言後は1カ月半ほどグラウンドが使えず、利用可能になった後も制限があった。それでも9月の日本学生対校選手権の総合順位は男子が10位、女子が3位。昨年から男子が一つ、女子は四つも順位を上げた。

 象徴的なのは日本学生対校の女子100メートルで日本歴代3位の11秒35をマークし、10月の日本選手権も制した児玉芽生(3年)。日本選手権では女子やり投げで上田百寧(同)、同砲丸投げで尾山和華(4年)も3位に入り、表彰台に上がった。

 福岡大陸上部の各部門に共通する指導方針を、野口コーチは「『ティーチング』と『コーチング』の中間」と説明する。大学生になると自主性を重んじ、自己解決を促す「コーチング」を重要視するチームが多い中、福岡大はコーチが細かな技術指導に当たるなど「ティーチング」にかける割合も比較的高いという。

 普段から綿密な連携を取っており、野口コーチは「活動が止まった時にメールの連絡網で体力強化メニューだけを送っても選手たちは戸惑わなかった」と説明。指導者の意図を選手が理解している証拠で「学生任せの大学とはそこが違ったのでは」という。

 児玉は女子200メートル元日本記録保持者の信岡沙希重・短距離コーチの指導のもと動作を解析、分析し、計画的にステップを踏んだ。入学当初は「先生の言っていることが難しくて分からなかった」と感じたが、感覚と理論をすり合わせる作業を続けてきた。コロナ禍の自粛期間には頭の中で理想の走りをイメージ。「目指す走りが明確になった」。これまでの取り組みを一本の線としてつなげ、好成績を収めた。

 上田も自粛期間中は野口コーチのメニューをこなし、競技再開後は日本学生対校を制すなど次々に自己ベストを更新。今では自分で練習スケジュールを組めるようになった。選手と指導者の適切な距離感が、未曽有の事態をチャンスに変えた。(伊藤瀬里加)

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