コロナ禍、相次ぐ薬物問題…新設の大学スポーツ統括組織にできること

西日本スポーツ

〈大学生アスリートのいま〉

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けたスポーツ界で、大学生の秋冬シーズンが始まった。コロナに翻弄(ほんろう)されながらも、乗り越えた注目の競技、大学、選手を通して、大学生の「いま」を追う。

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 設立2年目で組織の真価を問われる事態がいきなり訪れた。日本の大学スポーツを統括する組織として昨年3月にスポーツ庁が新設した大学スポーツ協会(UNIVAS=ユニバス)だ。

 コロナ禍でもスポーツに打ち込む学生や関係者をサポートしようと奔走。無観客で開催された各競技大会などの動画配信に力を入れ、アーチェリーの全国大会は約1万の視聴数があった。「『ウィズコロナ』の大会開催だったけど、スポーツの力を感じた」。ユニバスの池田敦司専務理事の言葉には実感がこもった。

 学生向けに元サッカー日本代表の本田圭佑(ブラジル・ボタフォゴ)、カヌーの2016年リオデジャネイロ五輪銅メダリスト、羽根田卓也(ミキハウス)らトップアスリートによるオンライン講座も配信。多くの反響があり、池田専務理事も「手応えを感じている」と語った。このほか新型コロナに関する各種調査の結果を大学や学生連盟に提供し、スポーツ活動再開のガイドラインも策定した。

 ただ、ユニバスの影響力はまだ限定的だ。九州では鹿屋体育大、福岡大など約20校が名を連ねているが、全国の800近い大学のうち加盟は約220校にとどまる。池田専務理事も「未加盟大学や団体の意見を聞くとユニバスの活動や、もたらす効果に関して認知度が極めて低い実態がある」と認める。未曽有の事態でも存在感を示したとは言い切れない。

 全米大学体育協会(NCAA)を参考としているものの、NCAAのような一部の強豪校だけではない大学スポーツの幅広い振興や参画人口の拡大を目指す。それだけに未加盟の大学にもユニバスのプログラムを体験する機会を設け、池田専務理事は「価値を認めていただく努力を続ける」と、日本の全大学が一枚岩となる組織を目指す。

 コロナ禍の中、運動部員の相次ぐ薬物使用問題も起きた。例年のような新入生勧誘イベントができず、大学で新しい競技を始める機会が奪われ、部員数が減少しているという課題も出てきた。大学アスリートの「いま」をサポートするため、さらなるリーダーシップが求められる。 (伊藤瀬里加)

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