中村晃が歓喜の輪に連れたユニホーム「ロッカーでみんな泣いていた」

西日本スポーツ 長浜 幸治

 ◆ソフトバンク5-1ロッテ(27日、ペイペイドーム)

 3年ぶりのリーグ優勝が決まると、中村晃は「01」の背番号が入ったユニホームを手にベンチを飛び出した。その持ち主だったのは、9月15日に急逝した3軍コンディショニング担当スタッフの川村隆史さん。18歳で入団したころから慕ってやまない恩人だった。

 この日の試合前練習では選手、首脳陣、スタッフがそろって水色のTシャツを身につけた。胸には川村さんに向けたメッセージと写真。中村晃が会長を務める選手会と球団が話し合って作ったものだ。「いつも選手に寄り添い支えてくださった。亡くなったと聞いたときはロッカーでみんなが泣いていた。これからも野球選手として長く続けることが恩返しになると思う」

 0-0で迎えた5回。そんな恩返しの思いを体現したのが選手会長だった。川瀬の二塁打と周東の犠打で1死三塁。若手がつないで生まれた好機を逃すわけにはいかない。石川の外角直球をきっちりと中堅に打ち上げた。犠飛には十分の飛距離。三走の川瀬がホームインすると、ベンチは早くもお祭りムードとなり結局、この1点が決勝点となった。

 コロナ禍の特別なシーズンを駆け抜けた。今季から選手会長に就任。両膝痛などで開幕には間に合わなかったが、復帰後は13年目で初の4番にも座るなど、持ち前の粘り強い打撃でチームを救った。工藤監督が今季何度も口にした「つなぎ」を最も体現できる選手だった。

 チーム活動が停止となった時期には選手の先頭に立ち、自主練習ができるよう球団と話し合った。「プレーは選手個々が役割を果たしてくれていたので。僕はやりやすい環境をなるべくつくれればと思って、話を聞くこともあった」。グラウンド内外で個性豊かなチームをまとめ上げた。

 昨季は自律神経失調症を患った。入院生活もあり、周囲に「続けていく自信がない」と明かしたこともあった。苦難を乗り越え、選手会長としてつかんだリーグV。「とにかくほっとしています」。グラウンドで心の底からの笑みを浮かべた。 (長浜幸治)

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