ソフトバンクを去る内川に願う 「孤高」の荷は置いていけばいい

西日本スポーツ 森 淳

 ◆ウエスタン・リーグ ソフトバンク5-1阪神(1日、タマスタ筑後)

 福岡ソフトバンクの内川聖一内野手(38)が、2011年から10年間在籍したホークスに別れを告げた。1日、2軍本拠地のタマスタ筑後で行われた阪神とのウエスタン・リーグ最終戦に「3番一塁」で先発。試合後、チームを代表してファンに謝辞を述べるとともに、今季限りでの退団を表明した。

    ◇   ◇   ◇

 盛夏、炎暑の筑後で内川は汗していた。少し無精ひげが伸びていた。たわいない世間話。体調は?とか何とか聞いたと思う。「体は大丈夫なんですけどね」。二の句は継がず、苦笑でのみ込んだように見えた。

 FA入団の大きな動機は、自身の一打を勝利に結びつけたい欲求だったと承知している。両リーグ首位打者のバットはプレーオフ、CSの壁に阻まれ「秋の風物詩」とやゆされた光景を変えた。移籍1年目の日本一は、現在に至る「常勝」の起点と思う。

 当時聞いた同僚選手の言葉が境遇を物語る。「ウチさんが三振しただけでアレッ?てなる」。工藤監督の下、主将も任された。4番もだ。口では意識しないと言っても、己の抱く典型的4番像に照らし、持ち前の打撃を崩した。周囲と分かち合えぬ孤高の道だった。

 革手袋を外し、素手の感覚を尊ぶ。左の人さし指は浮かせ、握らぬことでバット操作を容易にする。いわく「ボールが当たるまでの5ミリと、当たってからの5ミリが勝負」。その感覚は繊細。感性もしかり。涙もろく、良くも悪くも感情の発露はストレート。語彙(ごい)力も球界屈指と言える。

 孤高の戦いのうちに、10年を過ごした福岡での日々は終わる。味わい尽くした孤高の荷はそこに置いていけばいい。等身大の自己表現の場を得て燃え尽きてほしい-そう個人的に願う。 (遊軍・森 淳)

PR

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング

PR

注目のテーマ