どれだけ疲れていても…心に強く残る内川の姿 インタビュー後の言葉

西日本スポーツ

コラム : 放送席 インタビュアーのこぼれ話

 2020年11月1日、内川聖一選手がソフトバンクに別れを告げた2軍の今季最終戦を実況した。飾った言葉はあえて用意しなかった。希代のヒットメーカーに装飾は必要ないと思ったからだ。

 ホークスの1軍が優勝を決めた2日後、2軍もウエスタン・リーグの優勝を決めた。最終的に2位の中日に6ゲーム差をつけた。その戦いの中にずっと内川がいた。コロナ禍で遅れた開幕直前の練習試合では不振を極め、開幕1軍を逃したが、2軍ではさすがのバットコントロールで安打を量産した。

 それでも1軍に呼ばれない。ある日の中軸は3番内川、4番バレンティン、5番長谷川。タマスタ筑後を訪れたファンを喜ばせ、驚かせた。「自分の打撃を見つめ直す時間をもらっている」。試合後の言葉が内川らしかった。

 強烈に印象に残っている場面がある。ある年のファン感謝デー。内川は優勝パレード、アトラクションでファンと触れ合い、主将としてあいさつするなどお疲れの様子だった。その後ろ姿を遠くから見て、まずいなと思った。インタビューを申し込んでいたからだ。折を見てチームの広報が近づき、声を掛けた。カメラを見た瞬間、彼は「いつもの内川」に変わった。一瞬でスイッチが切り替わる様子は打席のそれと同じだった。

 インタビュー後、礼を述べるとこう返された。「内川聖一を伝えてもらえるのだから一生懸命応えないと。僕がお礼を言わないといけないくらいです」

 言葉と同様、技術の引き出しの豊富さは傑出している。残る時間は多くはない。思い切り燃焼してほしいと願うばかりだ。(フリーアナウンサー・久保俊郎)

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