有言実行だったソフトバンク周東の50盗塁「なんとしても」こだわった理由

西日本スポーツ 長浜 幸治

 ◆ソフトバンク6-2西武(9日、ペイペイドーム)

 周東佑京内野手(24)がシーズン最終戦で有言実行の大台到達だ。3回に四球で出塁すると二盗を決めて50盗塁。球団では2011年の本多(現内野守備走塁コーチ)以来9年ぶりの大台となり、日米通じて最長となる13試合連続盗塁も記録したいだてんが育成ドラフト出身選手初の盗塁王に輝いた。周東以外も投打でタイトルラッシュ。盤石の布陣で4年連続日本一へと突き進む。

■CS「ワクワクより責任感」

 育成ドラフト出身初の盗塁王は試合前からほぼ手中に収めていた。10月30日の西武戦では13試合連続盗塁の日米最長記録も樹立した。今季、数々の勲章を手に入れてきた周東だが、「50」という数字へのこだわりは特別だった。「もちろん意識していた。なんとしても決めたかった」

 幾度となく重圧の中で盗塁を決めてきたスピードスターでも緊張はあった。3回1死から四球で出塁。左腕の斉藤大に3度のけん制を受けながら、中村晃への2球目に仕掛けた。スタートは決してよくなかったが捕手の送球が乱れた。塁上から与えた「圧力」でもぎ取った節目の二盗だった。

 「50はいけよ。49と50じゃ全然違うから」。11月3日のロッテ戦前、本多内野守備走塁コーチにハッパを掛けられた。チームで最後に50盗塁の大台に到達したのが同コーチだった。2011年に60盗塁をマークし、2度の盗塁王に輝き、通算342盗塁を誇る「師匠」。これまで具体的な数字を口にしてこなかった周東が珍しく明確な目標として掲げたのは、尊敬する師と同じ景色を見たい思いが強かったからだ。

 スタートを切る前から勝負は始まる。一塁に出ると、投手がセットポジションを取る前にすぐさま大きなリードを取る。「1秒でも長く投手を観察する。そうすることで気持ちにも余裕が持てる」。本多コーチからそう学んだ姿勢を貫き、塁上からあまたの投手に重圧をかけ続けてきた。その積み重ねが球界では16年にオリックス糸井、西武金子が53盗塁をマークして以来となる大台となって結実した。

 育成出身として夢を与える存在でもある。「育成だったころの気持ちはずっと忘れないように。やったらやった分だけ結果につながるんだなと」。7月終了時点でわずか2盗塁。シーズン後半に驚異のペースで盗塁を重ねて“育成ドリーム”にまた一つ伝説を加えた。

 4年連続日本一への道は14日のクライマックスシリーズ(CS)から始まる。「去年はスタメン出場がほとんどない中で迎えたCSだった。今年は全然違う。ワクワクよりも責任感。走るだけじゃなく、打つのも守るのもしっかり準備しないと」。がっちりと投打がかみ合った工藤ホークスは完勝でレギュラーシーズンを締めた。盤石の布陣で臨むポストシーズン。その軸の一人にスピードスターがいる。 (長浜幸治)

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