ソフトバンク個人的MVPはモイネロ 陰のMVPは…真っ先に浮かぶ名前

西日本スポーツ 石田 泰隆

タカ番記者コラム「好球筆打」

 ◆ソフトバンク6-2西武(9日、ペイペイドーム)

 誰より肝を冷やしたはずだ。そして誰より安堵(あんど)したことだろう。工藤監督だ。5回。2死走者なしの場面で、2番源田のファウルチップが正捕手甲斐の左肘付近に直撃した。

 その瞬間、甲斐は跳び上がり、痛みをこらえるように自軍ベンチ方面へと小走りしていた。しかし、なかなか痛みが引かなかったのか、今度はミットを外して腰を落とし、苦悶(くもん)の表情を浮かべながら直撃箇所を押さえていた。

 結果的には大事に至らず、その後も6回までマスクをかぶり続けたから、尾を引くような故障にはつながっていないということだろう。これは不幸中の幸いだ。もし、こんなところで甲斐に負傷離脱でもされようものなら、4年連続日本一どころか、CS突破さえ厳しい状況に追い込まれてしまうところだった。

 「自分たちのやれることをやる」「最善の準備をして(CSに)臨みたい」「気持ちはそっち(CS)しか向いてない」。ペナント奪還後、工藤監督の言葉にはいつにも増して、短期決戦突破への思いがにじみ出る。過去2年はリーグ王者という立場ではなかっただけに、今年は負けられない思いがより強いのだろう。

 それを成し遂げるために誰より欠けてはならないと指揮官が望むのが、甲斐ではなかろうか。投打の軸である千賀も、柳田も、当然なくてはならない存在だが、やはりシーズンを通してホームベースを守り通した甲斐の存在は特別だ。

 個人的にも、甲斐がいなければこのチームは成り立たないと思っている。特にシーズン最終盤に見せた存在感の強さがそれを証明する。捕手としてはもちろん、一人の先輩としても心底尊敬する高谷が左膝痛で長期離脱を強いられた中、ほぼ一人で試合に出続け、初めてマスクをかぶった状態で優勝の瞬間を迎えた。この経験に勝るものはない。

 リーグ優勝紙面の当コラムで、個人的なシーズンMVPにはモイネロを挙げさせてもらった。実際には打率2位、本塁打、打点はともに3位と打撃主要3部門でリーグ上位につけた柳田が最有力なのだろうが、投手を中心に「守り勝つ野球」を実践してきた代表的な存在がモイネロだっただけに、24歳の助っ人左腕に敬意を表したつもりだ。

 一方で、陰のMVPを挙げるなら真っ先に浮かぶのが甲斐の名だ。甲斐不在の短期決戦など勝ち抜ける気がしない。本当に大事に至らなくてよかったと思う。 (石田泰隆)

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