コーチになった元鷹・馬原孝浩氏 胸に残る優しい言葉「ばかやろう」

西日本スポーツ 森 淳

 福岡ソフトバンク、オリックスで投手として活躍し、通算182セーブを挙げた馬原孝浩氏(38)が、来春開幕へ新設された九州独立リーグ、熊本の「火の国サラマンダーズ」で指導者となった。特設された「ピッチングゼネラルマネジャー」として投手コーチ、トレーニングコーチ、トレーナーや編成業務も兼ねる。異色の試みに臨む思いや、活動について聞いた。(聞き手・構成=森淳)

 <オリックスを退団、引退した後に専門学校に3年通い、医療系の国家資格を3種類取得。昨年からトレーナーなどで活動し、トレーナーを養成するアカデミーも開いたところだった>

 自分の活動を始めたところでしたし、正直、将来的にもどこかのチームでコーチになるイメージは持っていませんでした。恥ずかしい話、新しい独立リーグ、球団の動きもオファーで知ったぐらいで。

■トライアウトを視察 光るものがあった

 <球団も公にしているように、当初のオファーは新球団の監督だった>

 ありがたいお話でしたが、今の活動があって難しい。そこで新たにオファーしていただいたポジションに、今の活動とリンクする部分があった。熊本の球団で、地元に恩返しできるチャンスというのも大きかった。

 <選手獲得にも携わる。本格的な初仕事として7日、九州独立リーグのもう1球団「大分B-リングス」と合同のトライアウトが熊本・人吉で行われた>

 50人ぐらい集まってくれました。20歳前後の若い選手から、中には36歳という人も。投手は20人ほど。シート打撃も見て5、6人をリストアップしました。大分と重なれば、そこからは交渉になると思います。

 それぞれに光るものはある。あとは投内連係を見ていても、基礎を覚えれば面白い。球種もそう。プロのレベルをたたき込まれればうまくなるもの。反復練習が必要です。プロ入りしてからの僕もそうでした。クイックはずっと城島(健司=元捕手、現ソフトバンク球団会長付特別アドバイザー)さんに怒られていましたが(笑)。

 <未知の領域ともいえる選手のスカウティング。どんな考えで臨んだのか>

 独立リーグの新しいチームの現場に関わる。とても新鮮でしたが、当然、面白みだけでなく選手を預かる責任も感じています。目標レベルはいろいろだと思いますが、まずはNPB(プロ野球)を目指す上で可能性があるか。そこはこちらの責任として冷静な目で見極める必要があります。

 サラマンダーズとしては人間性も重視する方針がある。ウオーミングアップから一人一人の行動を見ていました。和気あいあいとやる選手、一人で黙々とやる選手。いろいろなタイプがいていいですが、一つ、明るい雰囲気を出せるのは才能でもある。

■新チームの立ち上げ 面白さと責任痛感

 <プロで12年過ごし、2球団に所属。チームの輪にもカラーがあった>

 ソフトバンクでは投手陣の練習は、黙々とやるべきことをやって、順に上がっていく。オリックスは集まることが多かった。関西のノリもあったのでしょうが、岸田(護=現オリックス2軍投手コーチ)や、平野(佳寿=現米マリナーズからFA)がいて、最後に皆でゲームをやってジュースを買う役を決めたりしていました。打たれて落ち込んでいる選手がいても「昨日、俺の防御率上げたやつ誰や!」といじって「俺や!」と返されるとか。ああいう空気も良かったなと思います。もちろん僕の目線ですし、どっちがいいという話でもない。それぞれ良さがあった。

 <来春には本格的にコーチ業が始まる。現役時代は多くのコーチに師事。中でも高山郁夫氏(現オリックス1軍ヘッド兼投手総合コーチ)とは、2球団にまたがっての関係になった>

 ソフトバンク時代で言えば、秋山(幸二)監督(当時)との気の置けない間柄もあったのでしょうが、監督に進言して「この選手は休ませよう」と僕らを守ってくれた。外には分からない休みがありました。

 よく「どうだ?」と体の状態を聞かれました。僕は性格上「大丈夫です」としか言わない。そのたび「痛いって言え、ばかやろう」と苦笑いされました。打たれたり、調子が悪かったりして「チームに迷惑を掛けてすいません」と言うと「そういうことを言うな。おまえがいるから(継投策が)逆算できるんだ」と言ってもらいました。

 高山さんや杉本(正)さんに長冨(浩志)さん、オリックスに行ってからは西本(聖)さんをはじめ、僕はコーチに恵まれ、気遣っていただいたと感じています。感謝しかないですね。

■選手との対話は密に 自主性が一番大事

 <歴代8位のセーブ数などプロで実績を残し、国家資格も取得してトレーナー転身。異例のキャリアを歩んでコーチにも挑戦する>

 自分の感覚だけに頼るのではなく、勉強して知識を身に付ける、公に認められる資格を取って活動したかった。僕らしい指導は何かと考えたとき、技術はもちろん、体も見てあげられることだと考えています。個々に練習メニューを考えて、やるべきことを明確にしたい。

 一方で、一番大事なのは自主性だとも思っています。チームに常時同行はできないと思いますが、球団にはリモートでつながれる仕組みも考えてもらっているところです。普段からコミュニケーションを密に、選手の質問や興味に対して、しっかりアドバイスできる準備をしておきたいと思っています。

 ◆馬原孝浩(まはら・たかひろ)1981年12月8日、熊本市生まれ。熊本市立(現必由館)高、九共大から自由獲得枠で2004年に福岡ダイエー(現福岡ソフトバンク)入り。05年途中に抑えへ転向し07年最多セーブ。13年にオリックスへ移籍、15年限りで引退した。通算385登板で23勝31敗182セーブ、防御率2.83。日本代表では06、09年にWBCで2連覇を経験。右投げ右打ち。

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