熱を帯びる昇格争い 他のJ2上位チームにない福岡のプラス材料

西日本スポーツ

【アビスパ取材20年超 ライター・島田徹コラム】

 首位を譲ったアビスパ福岡ですが、安定感ある試合運びで2位をキープしています。勝ち点3差で首位の徳島、2差で3位の長崎との昇格争いは熱を帯びてきました。アビスパ取材歴20年以上のフリーライター島田徹氏(55)は、コラム「“福岡”を語ろう」第8回で、ライバルチームにない複数のプラス材料を挙げ、この先の戦いにも太鼓判を押しました。

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 11日の第33節琉球戦で3-1の快勝を収めたところで他会場の結果を見ると、首位の徳島も難敵・栃木を2-0で下し、3位の長崎は岡山から大量5得点の無失点勝利を挙げており、福岡の順位は2位で変わりませんでした。

 J1昇格を争うライバルチームの安定感を見て残り9試合の戦いも楽なものとはならないだろうと推測しながら、でも不思議と不安ではないのです。なぜでしょうか。

 リーグ終盤になって上位争いを演じるチームが成熟し、安定感があるのは当然のこと。だから、個人の力ではなく組織として戦うスタイルが定着し、開幕からコツコツと積み上げてきたものを攻守で表現できるようになった福岡の現状も、ライバルチームとの差を縮め、あるいは広げるための決定的な材料とは言えないはずです。

 それでも今の福岡を安心して見ていられるのは複数のプラス材料があるからです。まずは2ゴールを奪い、琉球戦勝利の立役者となった山岸祐也。10月に山形から完全移籍し、加入後出場8試合目での初ゴールで余裕と自信を手にしました。今後の試合で爆発することを期待できますが、それだけではありません。

 琉球戦での2点目をアシストした遠野大弥との連係はまるで開幕時から一緒にプレーしているかのようなスムーズさと深みがあります。前回のコラムでも書きましたが、ポストプレー、空中戦、背後を取る動きなど、プレーに幅がある山岸の存在感が増せば増すほどチームの攻撃力に多彩さとパワーが増します。また遠野以外のFWとの連係も実戦でともにプレーすることで確実にアップしています。

 さらに負傷から復帰してきた選手の存在です。ボランチの重広卓也は復帰2試合目となる琉球戦で初めてフル出場を果たしました。試合勘とコンディションを取り戻した印象。持ち味である前に行く守備と高い位置での攻撃参加も披露しました。本人の「不満」との言葉は、今後さらに良いプレーが期待できるということです。

 そして開幕前に負傷、母国スペインで膝の手術を受けたセンターバックのカルロス・グティエレスも琉球戦が復帰2試合目。高さだけではなく1対1の場面での駆け引きに優れ、速さのあるFWに対しても落ち着いて対応、前線へのフィードもいろいろな距離、角度で正確に出せるところを披露しました。ドウグラスグローリという強さが武器のセンターバックもいて、相手のFWの特徴に合わせた起用を考えられるという点で長谷部茂利監督にとって非常にありがたい戦力復帰だと言えます。

 そういう戦力が加わることでピッチ上には“新たな気流”が生じるものです。シーズン終盤に成熟度が増すのは当然のことですが、ここまでのフレッシュな要素がそろうのは上位チームの中では福岡だけのように思えます。それが不安なく安心して見ていられる理由なのです。 (随時掲載)

 ◆島田徹(しまだ・とおる)1965年3月28日生まれ。広島県出身。小学5年から福岡大1年までサッカーに汗を流し、ボランチやサイドバックを務める。98年からサッカー専門誌の編集部に勤務し、アビスパの取材も開始。2008年から福岡拠点のフリーライターに。

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