巨人VSソフトバンクは「ほこ×たて」ならぬ「たて×たて」対決? 分析の専門家は日本シリーズ進出2チームをこう見る

西日本スポーツ

 独走でリーグを制したソフトバンク、巨人が激突する日本シリーズ。ともに長打力、機動力が高く、投手力ではソフトバンクにやや分がある印象だが、セイバーメトリクスの観点ではどうか。プロ野球のデータを独自に収集、分析するDELTA(デルタ)社のアナリスト大南淳氏に聞く。(聞き手・構成=森 淳)

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 「実は守備面でも非常に優秀な2チームです。守備指標のUZR(アルティメット・ゾーン・レーティング)で見ると12球団1、2位。ソフトバンクが59・1で、55・3の巨人をわずかに上回っています」

【表】今季12球団のチーム守備指標

 あらためてUZRという指標を説明してもらう。

 「UZRは同ポジションの、平均的な守備力をもった選手が同じ守備機会だけ守ったときに比べ、その選手が失点を何点防いだかを表します。平均が0で、プラスになるほど多く失点を防ぐ、優れた守備を見せていると評価できます。

 算出にはまずレギュラーシーズン全ての打球が、どのような打球(ゴロやフライ、ライナー)で、どこに飛んだか記録する必要があります。DELTAではフィールドを192分割してデータを入力し、打球の難易度別に、どれだけの確率でアウトにできたかを調べ、それをベースにはじき出すのが、打球処理貢献RngRです。

 これに加え、どれだけ併殺をとったか(DPR)、走者の進塁を抑止、またはアウトにしたか(ARM)、捕手が盗塁を刺したか、捕逸を阻止したか(Catcher)、失策をどれだけしなかったか(ErrR)といった項目で貢献度が測られ、これらとRngRの和がUZRとなります。

 各指標の詳細は弊社の運営するサイト『1.02』の項目『Glossary』を見ていただくのも良いと思います」

 なおチームのUZRは、個人のUZRの総和だ。12球団平均よりソフトバンクは59・1点、巨人は55・3点、守備で失点を防いだことになる。例年と比べるとレベルはどうか。

 「143試合制だった昨季は中日が43・1でトップでした。UZRの値は守備が優れたチームなら試合数が増えるほど高くなるので、120試合制の今季、単純比較はできませんが、昨季の数字からいっても今季のソフトバンク、巨人ともにかなり高いと言えます」

 両球団の守備指標を押し上げた要因は何だろうか。

 「一口に堅守といっても特徴があります。12球団最少の43失策だった巨人は、失策をいかに防いだかを示すErrRでソフトバンクより好成績でした。また、守備範囲を含めた打球処理でどれだけ失点を防いだかを示すRngRも上。打球処理でいえば巨人に分があったようです。ただソフトバンクのRngRも12球団2位の好成績でした」

 巨人の好成績のもとは。

 「ErrRは吉川尚、坂本の存在が大きいです。ほぼシーズンを通して出場しながら、ともにわずか4失策。打球が飛ぶことの多い二遊間の正確なプレーが数値に影響しました。2人とも守備範囲が広く、難しい打球にチャレンジしながらこの失策数に収まったことが、セイバー的には注目ポイントかもしれません。一般的に守備範囲が狭いベテランになると失策も減りがちです。それから岡本もスラッガーとして注目されますが、三塁UZRが12球団トップの14・5です」

【表】個人UZR評価の目安

 ソフトバンクはどうか。

 「ErrR、RngR以外で巨人を上回っています。まず内野の併殺でどれだけ多くの失点を防いだか。DPRは巨人0・5に対しソフトバンク9・2で、西武に次ぐ12球団2位の数値です。今宮を欠く中、代わって出場した選手が奮闘しました。二塁周東、遊撃牧原、遊撃川瀬が好数値を残しています」

 周東はリーグ最多の12失策と課題もあった。

 「失策は多いですが、それ以上に守備範囲の広さで失点を防いでいるので、守備面を考えても起用には納得できます。UZRを見ると二塁で2・8、遊撃で0・2と平均以上でした」

 このところ試合終盤に退くケースも出てきた松田宣の守備はどう評価するか。

 「ピーク時に比べれば確かに衰えは隠せませんが、元の能力が高く、なお十分な守備力は保っているという認識が適切かと思います。三塁UZR2・3は、ベテランではかなりすごいと思います」

 外野はどうだろうか。

 「こちらも好成績を残しています。走者をどれだけ進塁させなかったかを得点の形で示すARMは10・9で、パ・リーグトップ。捕手登録の栗原や、限られた出場機会ながらも強肩の上林らが良い値を残しています。

 異なる性格の守備力で失点を防ぎ、リーグを制した両チーム。強打や投手力も注目されますが、こうした守備の特徴も踏まえることで、一つ野球観戦の楽しみが増えれば幸いです」(おわり)

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