短期決戦に完璧はいらない ソフトバンク千賀の「引き出し」に注目/斉藤和巳

西日本スポーツ

 福岡ソフトバンクが4年連続で出場する日本シリーズは21日に開幕する。過去3年は第1戦のバッテリーがいずれも千賀-甲斐。今年も同じなら、巨人で第1戦の先発が見込まれる菅野との最多勝エース対決で幕開けとなりそうだ。本紙評論家の斉藤和巳氏は雪辱に燃える巨人・原監督の采配に注目。第1戦の重要性を改めて指摘し、クライマックスシリーズ(CS)で見せた千賀-甲斐の粘りが武器になると強調した。

 <CSの勝ち投手は2試合ともモイネロ。千賀、東浜には勝ちがつかなかったが、粘りが光った>

 2試合とも逆転勝ちで同じような展開。千賀も東浜も先制されても粘って打線の援護につなげた。ロッテはあと一本が出ていたら分からなかったが、エラーもあったし詰めの部分。ソフトバンクはワンプレーで流れが変わる短期決戦の怖さも確認し、いい流れで日本シリーズへ入っていける。

 <セ・リーグは今年はCSがなかったため、巨人は優勝決定からやや間隔が空いている>

 状況は有利かもしれないが、短期決戦はそう簡単ではない。昨年4連敗している巨人は対策を立ててくるはずで、同じようにはいかない。巨人は岡本や丸を中心に本塁打も多いが、盗塁も多い(いずれもリーグ1位)。機動力を使える選手が増えているし、原監督は勝負どころで大胆に動いてくる印象だ。その分、ソフトバンクは昨年以上に考えないといけない場面が増えてくるだろう。

 <巨人は防御率3・34がリーグ1位。先発は開幕13連勝を含む14勝でタイトルを獲得したエース菅野の存在が大きい>

 短期決戦では投手を含めたバッテリーの比重が増える。巨人の場合は菅野が抜けた存在。先発では戸郷が成長したが後半は打たれる場面も増えた。ソフトバンクは東浜が欠場することになったが頭数はそろう。かつて野村(克也)さんは「日本シリーズは第2戦が重要」と言われたが、今年の巨人は菅野の登板試合が絶対的な意味を持つ。菅野が第1戦なら確実に勝たなければならないから全力で取りにくるだろう。

 <ソフトバンクは甲斐が過去3年ともシリーズ開幕マスクをかぶった。シーズン終盤では高谷が離脱。甲斐はけがのリスクとも闘いながら役割を全うした>

 シーズン終盤、甲斐の存在は非常に大きかった。高谷がいなくなったことで高谷の存在の大きさもクローズアップされた。配球に正解はないが捕手は負けるとさまざまな声が出る。その中で甲斐は本当に粘り強くなった。日本シリーズはメリハリが大事。昨年は坂本の内角を徹底して攻めるなど主力にシリーズを通じて打たせなかった。大胆に攻めるところと慎重に守るところ。迷いは絶対にでてくるが、中途半端にならないリードを期待したい。

 <CSでは第1戦で千賀と甲斐のバッテリーで7回3失点。先制されても大崩れはしなかった>

 千賀は本来の姿ではなかったが、短期決戦とペナントレースは違う。今年はシーズン当初にばたばたしながらも勝ちがついたり、イニングを投げられなくても試合をつくれたことが多かった。本人がどう思っているかはともかく、今思えばあれで引き出しができたのかもしれない。完璧を求めるのはいいが、一人で野球をやるわけではない。短期決戦はチームが勝つか負けるかで、調子ではない。長いイニングを投げるに越したことはないが、チームの勝ちが全て。CSの千賀はシーズン中なら物足りなさが残るが、短期決戦はあれで100点。日本シリーズでも調子がどうでもチームの勝ちを求めてほしい。

 <ソフトバンクは今年を含む10年で7度目のシリーズ出場。選手の入れ替わりはあるが、巨人に比べると大舞台にも慣れている>

 どの選手もやるべきことは分かっているはず。だからこそ、絶対に勝ちたい原監督は少々のギャンブルでも仕掛けてくる可能性があるし、逆に何も仕掛けてこないかもしれない。不気味さはあるが、大切なのは当たり前のことを当たり前にやるということ。バントを決める、失策しない、無駄な四球を出さない。短期決戦ではワンプレーで流れが変わる。百戦錬磨の原監督の仕掛けを打ち破って日本一になれるか。大いに注目したい。 (西日本スポーツ評論家)

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