菅野を沈めたソフトバンクの成長株・栗原 大舞台で生きた「逆転の発想」

西日本スポーツ 長浜 幸治

 ◆日本シリーズ第1戦 巨人1-5ソフトバンク(21日、京セラドーム大阪)

 成長著しい24歳が百戦錬磨のエースを沈めた。ソフトバンクの栗原がシリーズ初スタメンで巨人の菅野からすべて長打の3安打。2回に放ったシリーズ初安打の先制2ランで初打点をマークし、4回に二塁打、6回には2点二塁打で計4打点だ。ソフトバンクはシリーズ新記録の9連勝。ポストシーズンの連勝は13に伸ばし、南海時代の本拠地、大阪からパ・リーグ初の4年連続日本一へ発進した。

■「受け身にならない」

 「能動の呼吸」で鬼神のごとき力を持つ右腕を打ち砕いた。0-0の2回無死一塁、打席に入ったのはここまでシリーズ通算1打席の栗原だ。マウンド上には今季セ・リーグで投手2冠の菅野。「すごい投手なので受け身にならないことを考えた」と強敵にもひるまなかった。

 2ボールからの3球目、甘いスライダーを果敢に振り抜くと、打球は右翼席へ一直線に伸びた。自身のシリーズ初安打が千金の決勝2ラン。「カウントが有利だったので、打てるところを待って思い切り振れた」。握りしめた右拳でガッツポーズを繰り返した。

 刃(やいば)はさらに輝きを増す。4回に右翼線二塁打を放つと、圧巻は6回だった。2死一、三塁で菅野のフォークを捉えた打球は左中間を真っ二つ。2点二塁打でリードを4点に広げた。3安打すべてが追い込まれる前に放ったもの。計4打点で昨年のリベンジに燃える巨人を返り討ちにした。

 「能動の呼吸」の神髄は相手に合わせるのではなく、相手を自身の形に引き込むことだ。プロ6年目の今年、シーズンで初の開幕スタメンを勝ち取った。「初対戦の投手も多かったし、相手のフォームや球種に合わせようとばかり考えていた」。序盤は勢いのまま安打を量産も、他球団のマークがきつくなるにつれて成績は下降線をたどった。

 「このままじゃ限界があると思った」と意識を百八十度変えた。「受け身になって相手に入り込まれないよう、打席で攻めていきたい」。最高のお手本はすぐそばにいた。「柳田さんは早めにタイミングを取って、左足が着地した時点であとは振るだけ。1軍で試合に出るようになったからこそ初めて分かった感覚だった」

 シリーズ開幕を4日後に控えていた17日、ペイペイドームでの練習の合間に一塁ベンチ近くで柳田と約10分間にわたり打撃論議を交わした。「いつもは質問しても真剣に答えてくれないんですけど」と苦笑しつつ「今回はしっかり答えてもらいました」。驚弾を連発する打線の“柱”に伝授された一太刀で、セ界最強右腕をぶった切った。

 シーズンの得点圏打率はリーグ5位、チームでは柳田に次ぎ2位。勝負強い24歳が「シリーズ男」の気配をぷんぷん漂わせる。チームはシリーズ新記録の9連勝、ポストシーズンは13連勝。誰よりも好機に強く、チームを勝たせる者-。未来のホークスの「柱」となるべき男が、大ヒット中のアニメ映画さながらにシリーズを席巻する。 (長浜幸治)

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