恩人に届け涙の全国1勝 掲げたユニホーム「TANAKA 1」の意味

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

 ◆都市対抗野球大会1回戦 西部ガス3-1日本製紙石巻(24日・東京ドーム)

 第91回都市対抗野球大会は24日、東京ドームで1回戦3試合が行われ、2年ぶり5回目の出場となった西部ガス(福岡市)は日本製紙石巻(石巻市)に3-1で逆転勝ちし、創部9年目にして日本選手権と合わせて通算7回目の全国大会で初勝利を挙げた。1点を先制された直後の7回に、連打と好走塁などで3得点して逆転。投げては先発の村田健が7回1失点と好投した。

 「TANAKA 1」のユニホームと遺影を手にして笑顔の選手たちを横目に、香田誉士史監督は勝利監督インタビューで涙を浮かべた。野球部創設に尽力し、9月に亡くなった田中優次元社長が何よりも望んだ全国1勝。「恩返しになったと思います」。試合だけでなく練習にまで足を運んで激励してくれたという天国の恩人に勝利を届け、声を詰まらせた。

 泥くさくもぎ取った決勝点は、意欲的に取り組んできた練習の成果だった。1点を先制された直後の7回。1死から3連打で同点に追いつき、なおも1死一、二塁の場面で、8番永利は二ゴロに倒れた。だがエンドランでスタートを切っていた二走正木が、二塁手がファンブルした隙をつき、一気に本塁を陥れ「必死すぎて、何点目のホームなのか分からないくらいだった」。直後にも内野安打で二塁走者が生還し、3点目をゲット。香田監督も「うちのムードが乗る点の取り方。やってきたことがあそこで出た」とうなずく好走塁だった。

 北海道・駒大苫小牧高の監督として2004年から夏の甲子園2連覇を達成し、田中将大(ヤンキース)を育てた名将にとっても、社会人は厳しい舞台。「好不調がないのは走塁。チーム全体が意識を持って、ああいう走塁が出るための練習をやってきた」。昨年は守備、走塁、打撃の各部門でリーダーを任命。走塁面は正木の下、「どんどん次の塁を狙ってきた。失敗しても責めることなく学びながら、タイミングを計った」と取り組んできていた。

 創部した12年からチームに携わる香田監督にとっても待望の白星だ。「今日で自信、確信が持てたので、次に勢いに乗っていける」。手応えを胸に、さらに上を目指す。 (伊藤瀬里加)

村田流れ呼ぶ7回1失点

 ○…西部ガスの先発サイド右腕、村田の好投も光った。7回を被安打7の1失点。無四球でテンポよく打ち取り「ある程度、思い描いた投球ができた」と振り返った。亡くなった田中元社長は特に投手に厳しかったといい、村田も練習試合の際に個別に「何やってんだよ」などとハッパを掛けられていた。恩人を喜ばせる快投を披露し、試合後は笑顔だった。

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