巨人との差なのか ソフトバンク長谷川のヘッスラが持つ意味

西日本スポーツ 石田 泰隆

タカ番記者コラム「好球筆打」

 ◆日本シリーズ第3戦 ソフトバンク4-0巨人(24日、ペイペイドーム)

 偉業まで、あと1死だった。どうせなら、日本シリーズでの無安打無得点試合を見てみたかったけども、やはり勝つことが一番だ。だからこそ、工藤監督は無安打投球を続けていた先発ムーアを7回で降板させ、8回から継投に入った。

 試合後の勝利監督インタビューで発した言葉がすべてだろう。「きょうはどうしても勝ちたかった。ペイペイドームで負けるわけにはいかないという思いもあり(無安打投球のムーアを)代えさせてもらった」。心を鬼にして振ったタクトで、セ・リーグ覇者の巨人を土俵際へと追いやった。

 それにしても、とことん勝負強い。3回の先制2ランが決勝弾となった中村晃だ。ポストシーズンで放った本塁打は、これで通算12本目ということだ。素晴らしいの一言に尽きる。

 「短期決戦はチームの成績が何より大事なので割り切れるし、切り替えやすい」。プレーオフ、CSで安打、本塁打、打点と通算最多記録を持ち、短期決戦の鬼と呼ばれた内川と同じ思考を持つからこその活躍ではなかろうか。納得だ。

 しかしながら、日本野球界最高峰の戦いが昨年に続く一方的な展開になるとは、誰が予想しただろうか。「勝負は下駄を履くまで分からない」と言うし、3連敗からの4連勝で逆転日本一は過去3度(1958年西鉄、86年西武、89年巨人)あるけれど、残り4戦で1勝を挙げるのは、いまのホークスにはそう難しくないように感じる。

 気を緩めるわけではないが、ベテラン長谷川のあんな気迫の走塁を見せられると、巨人とは勝利への執念に差があるのかと思ってしまうのも無理ないだろう。2点リードの6回2死満塁の場面で代打として登場。鋭い打球を一、二塁間に飛ばしながら二塁手吉川尚にダイビング好捕されると、懸命に走って最後は一塁へ必死のヘッドスライディングを見せた。

 しかも、アウトのコールを受けるとその場に座り込んだまま、右手でグラウンドをたたいて悔しがっていた。勝っているチームのベテランが、だ。勝利への執念。1点への執着心。日本一のチャンピオンフラッグは渡せないといったチームの思い。これらすべてを背負ったプレーに映った。

 「やるからには勝ちたいと思う選手の気持ちが一番強いのかなと。シーズン、CS、シリーズと準備もしっかりやってくれた。プロとして素晴らしい自覚を持ってやってくれている」。絶大な信頼を寄せる選手を従え、工藤監督がV4に王手をかけた。 (石田泰隆)

PR

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング

PR

注目のテーマ