工藤監督「鬼」が下した決断 史上初の快挙より「どうしても勝ちたかった」

西日本スポーツ 倉成 孝史

 ◆日本シリーズ第3戦 ソフトバンク4-0巨人(24日、ペイペイドーム)

 工藤ホークスが無傷の3連勝で「V4」に王手をかけた。3回に「ミスター・ポストシーズン」の中村晃が先制2ランを放ち、7回にも2点を追加。投手陣は3番手の森が9回2死から安打を許し、日本シリーズ史上2度目の継投でのノーヒットノーランの快挙は逃したが、またも巨人を投打で圧倒してポストシーズン15連勝。日本シリーズは記録更新の11連勝となり、本拠地では15連勝。2年連続で4連勝の「スイープ」を達成すれば、史上初だ。

 丸の鋭い打球が中前へ弾むと、森がマウンドで顔をゆがめた。9回2死走者なしからの一打で、日本シリーズ史上2度目の継投でのノーヒットノーランは消えた。その悔しさをにじませながらも、続くウィーラーは二飛。複雑な表情で甲斐とタッチを交わした。

 「森が一生懸命『すいません。すいません』と言ってました。打たれないことがベストだけど、ゼロで抑えるというのがリリーフにとって一番大事。ナイスピッチングです」

 工藤監督は強力投手陣が巨人をねじ伏せた第3戦を笑顔で振り返った。主役は米大リーグ通算54勝のムーア。日本シリーズ初先発の左腕が7回無安打の圧巻の投球を見せた。初回。いきなり牧原の失策で無死二塁のピンチを迎えても、動じるそぶりはなかった。

 「試合前は高ぶったものがあった。楽しめた」。1死二塁から3番坂本をチェンジアップで空振り三振に仕留め、岡本は154キロ直球で遊ゴロ。嫌なムードを冷静に断ち切ると、2回1死一塁では亀井を二ゴロ併殺。3、4回は三者凡退とギアを上げた。

 自らの失策で無死一塁とした6回も2死を奪い、最後は坂本をナックルカーブで空振り三振。7回は全て内野ゴロの三者凡退だ。日本シリーズ初の無安打無得点が現実味を帯びてくる中、工藤監督は「素晴らしいというよりすごかった」と絶賛したムーアを代える「鬼の決断」を下した。

 93球のムーアから、8回はモイネロにつないだ。試合後のインタビューで「今日はどうしても勝ちたかった。すいません」とファンに謝罪した覚悟に、最強セットアッパーも応えた。2四死球は与えたが、第1戦に続いて3奪三振。この回だけで4人の代打を送り込んだ巨人ベンチに、絶望感すら与える投球だった。

 継投による無安打無得点は惜しくも逃した。それでも被安打1の零封リレーの先陣を切ったムーアは「勝つための最善の策でやっていると思うので、自分はそれに従うだけ」と明るく振る舞った。V4まであと1勝という事実が、ナインもファンも笑顔にする。

 プロ野球の歴史に残る快進撃を続けて、パ・リーグ初の4年連続日本一に無傷で王手をかけた。ポストシーズン15連勝で、日本シリーズは11連勝。きょう25日に史上初の2年連続スイープを果たせば、工藤ホークスは新たな伝説となる。 (倉成孝史)

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