セとパの「力の差」開く一方…野球界はこのままでいいのか/池田親興

西日本スポーツ

 ◆日本シリーズ第4戦 ソフトバンク4-1巨人(25日、ペイペイドーム)

 先発の和田は、リーグ優勝を決めた先月27日以来のマウンドで登板間隔が空き過ぎて調整も含めて、いろいろと苦しかったと思う。それでも初回をなんとか1点で抑えたらその裏に柳田が逆転2ラン。柳田は初球から振ってくるバッターだし、初球から内角を攻めるのならボールから入らないといけない。それをフォークで簡単に行き過ぎた。巨人バッテリーの完全なミスだった。

 シリーズで初めて先制されたのに柳田がすぐに返してしまう。2回には甲斐が2ラン。あれで試合が終わってしまった。巨人は12三振だったが、ホークスも10三振。巨人の投手陣もよく踏ん張ったが、柳田があの場面で一発を放ってしまう。これは、もうセとパの「力の差」という以外の何物でもない。

 ホークスは開幕投手の東浜を欠いて臨んでいる。先発の軸が1枚がいないのに、それを全く感じさせない。野手陣にしても普通のチームなら、内川のような選手が抜けてしまったら、きつくなるはずなのにシリーズMVPに輝いた栗原や、盗塁王の周東といった若い選手がどんどん出てくる。今宮を故障で欠き、今季加入のバレンティンも、このシリーズでは全く出番がなかった。ホークスの選手層は、恐ろしいばかりの分厚さだ。

 このシリーズでは、コロナ禍での選手のコンディションを考慮し、ソフトバンクから提案された全戦DH制を巨人も了承した。不利に働く可能性もありながら原監督が決断したことはとても勇気が必要だったと思う。ただ、今回のような「力の差」が出てしまうと、野球界としてこのままでいいのかと考えてしまう。論議すべき時期になっているのではないだろうかと個人的には思っている。

 この秋、宮崎でのフェニックスリーグも視察させてもらったが、ファームでも、ホークスは選手層の厚さが違う。ウエスタンでもリチャードが本塁打と打点の2冠、三森が首位打者で、大竹は投手3冠。3軍制を本格的に始めて10年。そのシステム、選手を育てる環境が、他球団との大きな差になった。それはホークスが将来を見据えてやってきた成果でもあり、それが今になって、はっきりと分かってきた。

 この10年でパが9度日本一になり、そのうちホークスが7度。ホークスのように育成システムを拡大していくのか、それとも縮小して、2軍制でいくのか。そうした部分も、球界として真剣に考えなければ、両リーグの「力の差」は開く一方ではないだろうか。2年連続での4連勝は、ホークスにとっては誇るべきことだが、球界全体としては、重く受け止めなければならないことだろう。 (西日本スポーツ評論家)

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