栗原、周東…ソフトバンクで次々に若手野手が台頭したのはなぜか

西日本スポーツ 石田 泰隆

タカ番記者コラム「好球筆打」

 ◆日本シリーズ第4戦 ソフトバンク4-1巨人(25日、ペイペイドーム)

 圧倒的な強さでセ・リーグ覇者の巨人を倒した。多くの評論家が予想していたように、こちらもホークスに分があるとは思っていたが、まさか2年連続スイープで頂点に立つとは思わなかった。

 「続けて勝つことが大変と言われる中、今年はリーグ優勝と4連覇が当初の目標だった。それを達成するのは大変だけど、現実に自分たちの力で手に入れた。本当に素晴らしい」。かつて、自身が巨人の選手として成し遂げたV9以来のV4チーム誕生に、王貞治球団会長(80)もほくほく顔で偉業を称賛した。

 若手野手の台頭が見られない-。これが近年のホークスの課題だった。投手陣では千賀を筆頭に若い才能が次々と開花。ブルペン陣にも才能あふれる若手が数多く頭角を現すなど、他球団がうらやむ戦力を誇った。

 一方で、野手陣はチームの柱となるような選手がなかなか見つからない。2018年には上林が22本塁打を放つなど片りんを見せたが、その後は度重なるケガと不振が重なり、レギュラー定着とはならなかった。

 その影響もあって、ドラフト会議では17年から4年連続で最初に野手を1位指名。即戦力として期待する大学、社会人から近未来のチームづくりを見据えた高校生まで、幅広い層にターゲットを定めて底上げを図った。

 「投手はそこそこ出てくるけど、野手の方がなかなかね。だからといって、現場に(責任を)投げっぱなしはよくない。こちらもできる限りのことはしなきゃと、選手を送り込んできたつもり」

 ここ数年のドラフト最上位指名が野手偏重だったことについて、永井智浩編成育成本部長兼スカウト・育成部長(45)はチームバランスを考慮しての結果だと説明した。

 ただ、単純に若手野手が育たなかったというのも違う。ホークスには内川や松田宣といったベテランから、柳田や中村晃、今宮といった中堅まで球界を代表する選手がどっしり腰を据え、何年にもわたって自分のポジションを守り通してきた。

 いわば「分厚い壁」となって、レギュラー奪取を狙う若手をことごとくはね返してきたというのが実情だ。それが若手野手がなかなか台頭できない大きな理由だった。

 その「分厚い壁」をようやく突き破ったのが、今年の栗原だった。他球団の選手が経験できないほど高次元で勝負を挑み続けられたからこそ、身に付く下地が強固なものとなっていったのも自然の流れではなかったか。

 残した成績がそれを証明する。17本塁打、73打点は柳田に次ぐチーム2位の好成績。何年も不動だった「分厚い壁」に自力で「穴」をあけたからこそ、即座に他球団の主力と肩を並べられるほどの成績を出せた。今シリーズでの活躍も、何ら驚くものではなかった。

 栗原に限らず、今年は周東も今宮の離脱の合間を縫って台頭した。栗原とは定位置奪取の経緯こそ違えど、自力で存在価値を高めた。正捕手の座にはすでにリーグ屈指の存在として甲斐がいる。

 気付けば、どうだ。過渡期にあったチームは幾度となく繰り返された若手とベテランのせめぎ合いを経て、ビルドアップしたチームに生まれ変わったのではなかろうか。

 そして、来季からは弱小時代から常勝軍団へと駆け上がっていったチームの全てを知る小久保氏が入閣予定と聞く。王監督から秋山、工藤と継承される「常勝のDNA」は、次期監督候補の小久保氏にも引き継がれるだろう。歴史はそうやって、紡がれて行く。 (石田泰隆)

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