足だけじゃない 侍稲葉監督、五輪前進ソフトバンク周東に「頼もしい」

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 スペシャリスト卒業! 来夏に延期された東京五輪出場に意欲を持つ福岡ソフトバンクの周東佑京内野手(24)の視界が27日、一気に開けた。野球日本代表「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督(48)が、4年連続日本一を達成した常勝軍団の1番打者に定着した盗塁王を絶賛。世界一に輝いた昨年11月のプレミア12は「一芸枠」での代表選出だったが、今季飛躍を遂げた球界屈指の快足が難航必至の代表選考レースに堂々と加わる。

■ユーティリティー性も好材料

 コロナ禍の影響で現地視察がままならずとも、稲葉監督は来夏の東京五輪へ向けたイメージを膨らませ、映像でくまなくチェックしている。プレミア12で指揮した世界一メンバーの動向も気に掛ける中、「スペシャリスト」だった周東の変貌に目を見張った。

 「内野もいろいろ守れるし、外野もできる。盗塁王も取ってますから。昨年よりさらに良くなっているというか、素晴らしい選手に成長した。日本シリーズでも1番でスタメンで。頼もしく思います」

 周東はサプライズ招集となったプレミア12で、大会選手中最多の4盗塁を決めて衝撃を与えた。それがフロックではないことを証明したのが今シーズンだった。10月。1971、74年に福本豊が打ち立てた11試合連続盗塁のプロ野球記録を46年ぶりに塗り替えると、米大リーグの記録を上回る13試合連続盗塁成功の“世界記録”も樹立。球界では4年ぶりの50盗塁の大台に達し、育成出身選手初の盗塁王に輝いた。

 だが「スペシャリスト枠という位置付けのままでは東京五輪に出られない」とかねて口にしていた周東。飛躍したのは持ち味の俊足だけではなかった。東京五輪が延期になる前、稲葉監督はメンバー入りの条件として「(チームで)1打席でも多く結果を出してもらえれば入れやすくなる」と打力を求めていた。

 呼応するように、周東は9、10月の月間打率が3割を超え、103試合に出場し規定打席未到達ながら打率2割7分をマーク。打撃力が増した俊足が1番に定着したことで、チームのラストスパートが加速した。守りでも二塁を中心に遊撃、三塁、外野を無難にこなした。プレミア12の28人から24人にメンバーの数が減る東京五輪では、そのユーティリティー性が存在価値を高める可能性もある。

 稲葉監督はこの日、宮崎市で行われた秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」で日本ハムを率い、東京五輪を想定して中日相手に采配を振った。2点リードの8回1死一、二塁。二走に代走を送り、ダメ押しの1点を奪いにかかった。昨年のプレミア12では周東が担った役割だ。

 周東には稲葉ジャパンが目指す野球像を具現化できる速さがある。そして、もうスピードだけでもない。「スペシャリスト」を卒業した今、げたを履かせずとも、自力で歩める東京五輪への道が開けている。 (鎌田真一郎)

PR

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング

PR

注目のテーマ