コロナで休校、帰省した19歳のラガーマンが事故死 13日に全国大会、「息子の分まで」遺族は告げた

西日本スポーツ 大窪 正一

 コロナ禍で社会は直接的、間接的に大きな影響を受けている。もちろんスポーツ界だってそうだ。13日、ラグビー全国大学選手権の3回戦に臨む福岡工大は、大事な仲間を失った無念を胸に「東の聖地」に立つ。

 新型コロナウイルス感染拡大の「第1波」がピークを迎えた今春。福岡県が緊急事態宣言の対象となったことを受け、大学は臨時休校となり、部活動も停止となった。県外出身のラグビー部員は寮にとどまるか、帰省かの判断を委ねられた。

 岡山・玉島高出身の2年生、清水航平さんは帰省を選んだ一人だった。向上心にあふれたフランカーで練習熱心。競技から離れることは心残りだったが不可抗力の事態でもあり、地元でのリフレッシュを選択した。5月下旬。その故郷で交通事故に遭い、亡くなった。6月6日に20歳の誕生日を迎えるはずだった。

 「なぜこんなことが…」。連絡を受けた宮浦監督は、現役部員の事故死という就任10年目で初めての事態に動転した。コロナ禍でもあり、部と大学を代表して1人で現地に足を運んだ。ご家族から「息子の分まで頑張ってほしい」と告げられたという。福岡に戻ると、宮浦監督は部員をグラウンドに集めて報告した。屈強な男たちは声を失い、静まりかえった。

 清水さんは玉島高3年時の花園にFWの主力として出場。岡山県勢では48大会ぶりの3回戦進出に貢献した。「どうすればうまくなりますか?」「この場面ではどのプレーを選択すれば?」-。大学入学後もレギュラー奪取を目指し、宮浦監督を質問攻めにしていたという。「貪欲な姿勢が印象的で、間違いなく飛躍する選手と思っていた。寂しい」

 福岡工大は1、2回戦と苦しみながらも逆転勝ち。試合前のミーティングでは欠かさず清水さんへの黙とうをささげ、試合が見える位置に遺影を置いてプレーした。清水さんのためにこんなところで負けるわけにはいかない-。そんな執念が今のチームに宿っている。

 3回戦でぶつかる日大は関東の強豪。戦力的には分が悪く、苦しい戦いが想定される。それでも部員の誰もが負けるつもりはない。天国の清水さんも勝利を信じ、ともに戦うはずだ。 (大窪正一)

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