天国から地獄 ソフトバンク甲斐野の告白「自分にも嘘をついていた」

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 福岡ソフトバンクの甲斐野央投手(24)が、3年目のV字回復を誓った。14日、ペイペイドーム内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、減額制限に迫る1200万円ダウンの年俸3800万円でサインした。1年目の昨季はチーム最多の65試合に登板し、日本一と侍ジャパンの世界一にも貢献。今季は一転、右肘痛に悩まされて登板ゼロに終わった。「地獄」を味わった剛腕は患部の手術に踏み切り、もう一度「天国」へ返り咲く。(金額は推定)

 1年前の華々しさは一転した。昨年、12球団の新人で最高額となる年俸5000万円の契約を勝ち取った甲斐野は、今年減額制限(年俸1億円以下は25%)に迫る24%ダウンの3800万円でサイン。会見場に現れると、表情を変えることなくどん底を見た2年目を振り返った。

 「去年は1年で日本一も世界一も味わわせてもらったシーズンでしたが、今年は1試合も投げられなかった。プラスに捉えれば濃い2年間だった」

 まさに天国と地獄を味わった。1年目の昨季はチーム最多の65試合に登板し、ポストシーズンもフル稼働。日本一も経験すると最速158キロの剛腕は、侍ジャパンに招集され「勝ちパターン」の一角としてプレミア12の優勝にも貢献した。

 ダメージは想像を超えていた。2年目の今季は春季キャンプから右肘の状態が上がらず、検査の結果、右肘内側側副靱帯(じんたい)一部損傷の診断を受けた。自身の血小板を注入して組織修復する「PRP注射」による治療を複数回受け、早期復帰を目指した。実戦復帰した7月24日のウエスタン・リーグのオリックス戦で最速154キロをマークしたものの、患部は再び悪化。それでも焦りから、現実を直視できなかった。

 「正直に言わなかったことを悔やんでいる。自分にもトレーナーにもうそをついていたのが良くなかった」。回復の兆しが見えない中、チームはパ・リーグ史上初の4年連続日本一を成し遂げた。歓喜の輪に加われず、「自分のいないチームを見るのがきつかった」と何度もテレビから目を背けた。1軍登板なし。その現実を突きつけられ、自問自答した。「もし、来年40、50試合投げろと言われたら、この肘では無理だと思って決めた」。今月4日、右肘の手術に踏み切った。

 全治は3カ月。術後は改善が見られ、今はチューブトレーニングなどで患部を強化している。年明けにスローイングを再開し、春季キャンプ中にブルペン投球を行う予定と、来季への復帰プランを思い描く。

 「本当に厳しい世界だと思った。僕がいなくても、すごいピッチャーがどんどん出てくる。なんとしてもこの中に食い込まなければいけないと、強く思った」。もう一度“天国”へ-。不安を取り除いた右腕で、自分の居場所を取り戻す。 (鎌田真一郎)

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