全国高校駅伝、1区で独走した身長150センチのエース「ゴムまりのように弾む走り」

西日本スポーツ 喜瀬 雅則

 女子第32回全国高校駅伝は20日、京都市のたけびしスタジアム京都を発着点とする5区間21・0975キロで争われ、2年ぶりに出場した北九州市立(福岡)が同校最高順の4位入賞を果たした。1区の酒井美玖(3年)が2位に22秒差をつけて区間賞に輝く激走で上位へ導いた。2年ぶりの優勝を狙った神村学園(鹿児島)は2年連続の準優勝だった。

 身長150センチ。集団の中にいたら、きっと埋もれて見えなくなってしまうような小柄な女子ランナーが1区6キロを最後までたった一人で突っ走った。

 「集団で走るより、一人の方が好きです」という北九州市立の酒井が、2位に22秒差をつける19分18秒の独走で区間賞を獲得。2年ぶりの都大路で、同校史上最高の4位入賞に導いた。

 大会前日の19日に競技場のトラックを1周し、外周へと飛び出していく400メートルのスタート練習を2度行った後、宿舎へ戻った。帰路の車の中では新谷仁美(興譲館)が第17回大会で1区を独走し、区間賞を獲得した動画を視聴。後半は上り坂が続く難コースにも「怖い部分もありましたが、最初に飛ばしてもカバーできると思って走りました」とイメージ通りの強気の走り。15年後に東京五輪代表を内定させた新谷をほうふつとさせる快走で後続を引き離し、一度もトップを譲らなかった。

 緊急事態宣言下の4月には寮が閉鎖となり、酒井も福岡県八女市の実家へ帰省。孤独の練習が2カ月間続き、夏合宿は例年の1カ月から2週間に。走り込み不足を補うためにチームは6月から10月までの週末ごとに荻原監督が運転する車で熊本・阿蘇まで行き、山道で練習を繰り返した。ただ酒井は県予選1週間前の広島でのレースで転倒。以前から痛めていた右股関節が「衝撃で少し悪くなった」という。

 そのアクシデントも乗り越え、最後の全国大会で開花した酒井の潜在能力を荻原監督は「底知れない」と表現した。

 「上り坂でも、ゴムまりのように弾む走り」。荻原監督はその将来像をアテネ五輪女子マラソン金メダリストの野口みずきにダブらせた。卒業後は実業団のデンソーで五輪を目指す酒井にとって、この都大路は、世界へつながる“助走路”になったのかもしれない。(喜瀬雅則)

 

PR

陸上 アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング