おそらくは東京五輪前最後のレース 道下美里が世界新更新「できないのとは全然違う」

西日本スポーツ 林 原弘

 防府読売マラソンは20日、山口県防府市のキリンレモンスタジアム体育館前-キリンレモンスタジアム陸上競技場のコースで行われ、視覚障害女子で来年の東京パラリンピック代表を事実上内定させている道下美里(43)=三井住友海上、福岡県太宰府市在住=が、今年2月の別府大分毎日で自身が出した世界記録を9秒更新する2時間54分13秒で優勝した。道下は今年2度、世界記録を更新した。

 ゴール直後、道下は一瞬崩れ落ちそうになりながら、満面の笑みを浮かべた。発した言葉は自分への厳しさにあふれた。「世界新はすごくうれしい。でも(2時間)52分台を狙っていたので…。ホッとしたのと悔しさが入り乱れています」

 東京パラリンピック前最後のフルマラソンの可能性が高い故郷山口でのレース。途中までは今年2月の別府大分毎日で出した自身の世界記録のペースを1分以上も上回っていた。10、11月に月に約800キロを走り込み「思い通りに練習を積めた。世界記録を狙っている」と公言するほど自信を持って臨んだ成果を発揮した。

 防府のコースは後半、起伏が多くなり、風も強くなる。40キロ付近から「固まった感じになった。風かな…」。それでも記録を塗り替え、「更新できて(東京パラリンピックを)迎えるのとできないのでは全然違う」と再び笑みを浮かべた。

 2月の世界記録から約1カ月半後、コロナ禍で東京パラリンピックの延期が決まった。「私にはどうすることもできない…」。むなしさを味わった道下は、緊急事態宣言前後の約1カ月、外で練習できず、自宅で筋トレや踏み台昇降などに励んだ。それが「楽しかった」という。「(伴走者なしで)一人で練習していたころを思い出した。初心に帰れた」

 外で走れるようになってからは普段練習で使う福岡市の大濠公園ではなく、山奥のダム湖を囲う周回コースなど人がいない場所で走り込み。大濠公園で練習を再開したのは7月だった。

 2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックで銀メダル。東京では断然の優勝候補だ。それでも「スピードがある選手が出てきている。もう少し強くならないと勝てない」と気を引き締めた。悲願の金メダルへ、弾みはついた。 (林 原弘)

PR

陸上 アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング