続投決定の長谷部監督の「目標からの逆算」 私の「明るい予測」の理由とは

西日本スポーツ

【アビスパ取材20年超 ライター・島田徹コラム】

 待望のJ1昇格を成し遂げたアビスパ福岡にとって、来季は降格の「5年周期」に終止符を打つ戦いとなります。アビスパ取材歴20年以上のフリーライター島田徹氏(55)は、コラム「“福岡”を語ろう」の今年を締めくくる第11回で、長谷部茂利監督の続投は明るい材料と指摘。指揮官が落とし込んだ能動的守備はJ1を戦う基礎になると捉えています。

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 サポーターの皆さんは5年ぶりのJ1を戦う来季はどのようなシーズンになると思いますか?

 「キング・オブ・福岡」と呼ばれる城後寿が今季リーグ再開時の6月に口にした「5年周期説を封印する」との言葉は、過去3度、5年周期で実現していたJ1昇格を達成するとの宣言であり、2021年はJ1に残留するという決意表明でもありました。キングの予言通り、来季J1残留を果たして5年周期を終わらせることができるのでしょうか。

 それを探るための材料ですが、長谷部茂利監督の続投は決まっているものの、この原稿を執筆した時点では十分にそろっていません。チーム内トップの11得点の遠野大弥、堅守の軸として働いた上島拓巳、サイドで推進力を存分に発揮した増山朝陽、チームトップの10アシストを記録したサロモンソンはいずれも他チームからの期限付き移籍で加わった選手であり、来季も移籍期間を延長するかどうかは不明ですし、戦力面からの予測は難しい時期にあります。

 ただ、指揮官続投という要素だけでも実は明るい予測が立つように思います。J2からの昇格組がJ1で苦戦するのは過去の例からも明らかです。特に昇格達成のために堅守に力を注ぐ割り切った戦い方をしたチームが昇格初年度にJ1での残留争いに巻き込まれる事例は多い。その観点から堅守をベースにした福岡も来季苦しむのではないかとの予測も立ちますが、苦戦したチームとは異なる点があります。

 今季の福岡が見せた守備はゴール前に人数を割いて耐え忍ぶ受け身の守備ではなく、自分たちから相手ボールを奪いにいく能動的な守備でした。自陣で構える時間帯や試合もありましたが、いったん構えておいてボールホルダーへ寄せる、前傾姿勢は貫きました。この意識があるかないかは攻撃の時間を確保できるかどうかに関わってきます。

 ただ辛抱強く耐える守備はJ1で通用しませんし、それだけでは攻撃につながらないので身体的、精神的な疲労が蓄積するだけで勝利へ向かうエネルギーを創出できません。そういう意味で、今季福岡が見せた堅守は、レベルアップは必要だとしてもJ1を戦える基礎は備えている、と言えます。

 もちろん、攻撃力アップも不可欠。今季、長谷部監督が複数得点を選手に求め続けたのはJ1昇格後を見据えてのことでしょう。目標からの逆算で選手獲得から事を計画的に進めJ1昇格を実現した長谷部監督ですが、その昇格も「J1に居続ける」という目標からの逆算の中にある過程の一つにすぎない。つまり来季に向けた準備を、今季のうちにある程度の収穫を出しながら進めていたということ。これが私の明るい予測の理由です。皆さんはどう考えますか?

 ◆島田徹(しまだ・とおる)1965年3月28日生まれ。広島県出身。小学5年から福岡大1年までサッカーをプレーし、ボランチやサイドバックを務める。98年からサッカー専門誌の編集部に勤務し、アビスパの取材も開始。2008年から福岡拠点のフリーライターに。

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